Documentary

大学時代、突然難病に襲われた。それでも“かわいい”を諦めなかったワケ

2023.01.25
村山優子
取材・文:ヨコシマ リンコ
撮影:小川 遼
村山優子 経験施術は、顔のほくろ除去。作業療法士。大学一年生の時に、難病である全身性エリテマトーデス(全身のさまざまな臓器に炎症や障害を起こす自己免疫疾患)を発症。インドア派で、マイブームは編み物。
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村山さんは、精神科の作業療法士だ。統合失調症やうつ病、認知症などの疾患・障がいを持つ患者に対し、レクリエーションや生活技能訓練などのリハビリをおこない、“生活のしづらさ”を改善していく仕事である。そして、そんな村山さん自身もまた“生活のしづらさ”を感じる一人。全身のさまざまな臓器に炎症や障害を起こす自己免疫疾患である“全身性エリテマトーデス”という難病を、大学生で発症した。

夢だった作業療法士になるために大学へ

将来、医療系に進むことは「まったく考えていなかった」という村山さん。しかし高校三年生になり、友達の付き添いで医療系のオープンキャンパスに行った際、作業療法士のブースがあり、興味をもったことがのちに作業療法士を目指すキッカケになったのだと言う。

村山さん立ち姿

「元々、障害のある兄がいるので、病院にはよく付き添いで行っていて。そこでリハビリを手伝ってくれる医療従事者さんがいたんですけど、なんだかかっこいいなと思っていたんです。オープンキャンパスのブースで詳しく話を聞いているうちに、『作業療法士って仕事だったんだ』と知って。そこからより興味を持って、目指し始めました」

大学に入ってから、難病を発症

晴れて大学へ入学し、「これから頑張るぞ」というタイミングに、謎の高熱が1ヶ月続いたことで、「体の異変を感じ始めた」という村山さん。1ヶ月間、何度病院に行っても原因が分からない。大きな病院で精密検査を受けてはじめて、難病である“全身性エリテマトーデス”だと発覚した。

村山さんインタビュー

「『難病です』って言われても、こっちはずっと熱があってしんどかったので、正直何も感じなくて。『なんでもいいからとにかく早く熱を下げてほしい』って気持ちでした。入院して、徐々に熱が下がったので、『なんだ、大丈夫じゃん。難病じゃないんじゃない?』って軽く考えてましたね」

今までできていたことが、できなくなっていった

人によって症状はさまざまだが、全身性エリテマトーデスは“全身性”という病名のとおり、全身のさまざまな臓器に障害を起こしやすいという特徴がある。村山さんの場合、光線過敏症(日光アレルギー)や、全身の倦怠感、すぐに疲れてしまうなど、今まで当たり前にできていた日常生活が難しくなってしまったのだと言う。

村山さんと街灯

「最初は今まで通り生活していたんです。でも、日中外に出て日光を浴びるとやっぱりどんどん体調が悪くなって、立ち仕事だと1時間くらいでバテバテになっちゃう。今までできていたことが出来なくなって、やっと自分の状況を理解しました」

出来ることは減ったけど、諦めるのは嫌だった

自分が難病であると認めたものの、当然すぐに受け入れられるわけもなく、『しばらくの間大学にも行けずに落ち込んでいました』と語る村山さん。“作業療法士になる”という夢も、諦めかけた。

村山さん笑顔

「でも、『なんで私だけ諦めなきゃいけないんだろう?』って思い直して。『健常者と障害者、どちらも経験している私だからこそ、患者さんにもっと寄り添える。これは私ならではの強みでもある』って気づいて、大学もちゃんと行って、作業療法士免許を取得。無事に卒業しました」

作業療法士として、多忙の日々

自身が難病を発症し、辛い状況下になったにも関わらず、人を支える仕事である作業療法士に就いた村山さん。さらに、精神科の作業療法士を選択した理由として、こう語る。

「個人的に一番やりがいがあったのが精神科だったんです。患者さんと関わっていくうちに、『村山さんがいてよかった』『話せてスッキリした』とか、そう言ってもらえることが嬉しくって。あとは、メンタル的に向いていたのもありますね。私、辛い話を聞いても、精神的に持っていかれないタイプだから。感情移入しすぎる人だと、きっとしんどくなっちゃう。意外と重労働なので身体的にしんどいことも多いですが、楽しくやれています」

“かわいい”だって、諦めたくなかった

夢を諦めずに努力すれば、難病であっても叶えることができた。この事実は村山さんに大きな自信を与えた。大学卒業後は作業療法士として働き、精神的にも経済的にも少し余裕が出てきたタイミングで、コンプレックスだった“ホクロ”を取る施術をおこなった。

村山さん歩く

「鼻の横にぷっくりしたホクロがあって。立体的だから化粧じゃ隠しきれないし、高校生くらいからずっと気になってたんです。でも美容医療って漠然と『値段が高い』ってイメージがあって、なんとなくそのままにしてました。でも、ちゃんと調べてみたら、意外と安くて。これくらいならできるじゃんと思って。除去にレーザーを使用するって言われたから最初は怖かったんですが、実際に受けてみたら全然大丈夫でした。もっと早くやればよかったなと思ったくらい。写真を撮られたりするのもイヤじゃなくなったし、メイクも写真加工もすごく楽になりました。コンプレックスが一つ減ったことで、精神的にも少し楽になりましたね。やってよかったなって思います」

難病でも、自信を持って生きていきたい

村山さんは諦めない。「好きな人もできて、今はプレゼントするためのマフラーを作ってる最中です」と、笑顔で教えてくれた。

村山さん編み物

「まだまだ、やりたいことがたくさんあるんです。自分のやりたいことを、『難病だから』と諦めるのではなく、本当に不可能かどうかをしっかり調べて、考えてみることが大事だなって思います。もっと難病について知ってもらう活動もしていきたいし、本も出したいし、将来は“美魔女”になりたい!これからも、自分のペースで色々なことにチャレンジしていきたいな」

村山さんカメラ目線
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