「誰かの役に立ちたい」
美容医療の失敗経験をもつ看護師の7つのアドバイス

2023.06.16
ぽんこつカーチャン
取材・文:相羽 ゆづる
撮影:鈴木 真弓
ぽんこつカーチャン 経験施術は、二重埋没・切開、目頭切開、目の下の脱脂、糸リフト、スレッドリフト、IPL、ベルベットスキン、水光注射、ボトックス、ハイフ、ピコレーザー、ケミカルピーリング、フラクショナルレーザー、イオン導入、ヒアルロン酸注入。
1982年生まれ、栃木県出身。看護師歴20年。医療従事者としての知識と豊富な施術経験を生かし、現在は「無加工おばさん」というSNS名で美容医療に関する発信を行う。小学校5年生、2年生、幼稚園年長の3人の女の子を育てる母でもある。
Instagram
ぽんこつカーチャン(以下カーチャン)さんは、働きながら3姉妹を育てるパワフルで明るい人だ。看護師歴20年のベテランナースで、現在は親族が経営するクリニックで日々、外来業務にあたっている。また、美容医療歴も16年におよび、今まで数多くの施術を行ってきた。その経験を生かして、美容医療に関する情報をSNSで発信している。

1投稿につき6時間
プラス面もマイナス面も両方伝える

カーチャンさんのSNSは、美容医療のメリットだけではなくデメリットも必ず伝える特徴がある。その理由は、自身が失敗をして、つらい思いをした過去があるからだ。25歳と29歳のときに一度ずつ、二重にする施術で失敗をして、傷跡ができたり、ハム目(二重まぶたのラインとまつ毛の間が膨らんだり、皮膚が下がってまつ毛を隠してしまう状態)になったりしてしまった。その後出会った名医によってほとんど修正はできたが、まだ傷跡は完治していない。

だからこそ、カーチャンさんはSNSで医療従事者ならではの目線も含めて、美容医療の負の側面も丁寧に伝えている。1つの投稿に6時間もかけているそうだ。

ONEドキュメンタリー取材。無加工おばさん。インタビュー中

「『私と同じ経験をしてほしくない』という思いからです。みんな美容医療に夢や希望を持つと思うんですけど、私は逆にコンプレックスを増やされてしまったことがある。それでうつ状態になって、自分の顔を鏡で見たくないと思ったこともありました。だからこそ、同じ思いをしてほしくないし、誰かのためになる発信をしたいと思っているんです」

美容医療で後悔しない!
7つの流儀を公開

失敗を経験してからというもの、よく調べてから美容医療に向かうようになったと言うカーチャンさん。10年以上をかけて彼女なりに見つけた、医師選びや施術選びの方法を、7つ紹介してもらった。

ONEドキュメンタリー取材。無加工おばさん。遊具

①医師の専門をチェックする

「切ったり縫ったりという施術は形成外科医、肌やボトックス系は皮膚科医にお願いするのがおすすめです。医者も自分の専門が得意だと思うので、何の専門医かを確認して、指名するようにした方がいいと思います」

②医師の経歴と実績を調べる

「経歴に出身大学だけを書いているような医師よりも、どこで研修を受けたか、どんな資格を持っているか、所属学会はどこか、などを載せている医師に頼む方が安心できますよね?」

③他院修正術を行っているかは一つの目安

「他院が失敗したものを直す“他院修正”はふつうの施術よりも難しいので、それを行っている医師はレベルが高いと考えていいと思います」

④症例写真を見て医師の得意な形を確認する

「美容医療は、自分の好みではなく、医師が得意とする形になってしまうことがあります。例えば二重施術でもナチュラル二重が好きな先生もいれば、極端に二重幅を大きくするのが好きな先生もいる。症例写真を見て、医師の特徴を知っておくといいと思います」

⑤名医の知り合いは名医

「信頼できる医師がSNSをやっている場合、その先生がフォローしている医師は名医の確率が高いです。名医がフォローしている人の中から、豊胸、二重、脂肪吸引など、自分がやりたい施術の医師を選ぶのはおすすめです」

⑥流行に惑わされず、自分のなりたい顔で施術内容を考える

「私の若い頃は、二重で目の大きい子がかわいいとされていました。でも今は、一重や奥二重の子もかわいいと言われていたりします。見た目にも流行があるので、流行に惑わされずに自分が本当になりたい顔を考えてから施術してほしいです」

⑦新しすぎる施術は慎重になる

「新しい施術メニューはどんどん出てきますけど、中にはしばらく経つと『意味がない』とか、『あまり体に良くない』と分かるものもあります。新しいものに飛びつくのは、慎重になった方がいいと私は思います 」

ONEドキュメンタリー取材。無加工おばさん。取材中

“自分を好きになるため”の正しい味方でいてほしい

つらい経験をし、安易な考えで施術をすることに警鐘を鳴らすカーチャンさんにとって、美容医療とは何なのか。そう聞くと、「自分を好きになるためのもの」と笑顔で答えてくれた。

ONEドキュメンタリー取材。無加工おばさん。縦画像

「やっぱり美容医療で自信はつきました。それまでは周りのかわいい子を見て、『あの子に生まれたかったな』と思っていたんですけど、それが全くなくなって、生まれ変わっても自分の顔や体で生まれたいと思えるようになった。そうやって自信がつくと、人生はかなり変わります」

失敗もしたけれど、それ以上の成功体験もあった。「美容医療が人生を変えてくれた」という思いは変わらない。だからこそ、正しい美容医療が世の中に広まってほしいのだという。娘がもしいつか「美容医療をしたい」と言いだしても、応援するつもりだそうだ。

ONEドキュメンタリー取材。無加工おばさん。遊具の上

また、美容医療情報の発信には、看護師として医療一家に嫁ぎ、医師に囲まれて日々を過ごすからこその思いもあると教えてくれた。

「医療のすごさをもっと広めたいと思っています。結婚をしてから医者がより身近にいる環境になりましたが、彼らの知識量って半端じゃないですから。世の中には、『医療には頼らない』というマインドの人がいますけど、そういう人にこそ一回やってみてほしい。例えば健康食やノンケミカルの化粧品でシミを薄くするよりも、美容医療なら1万円くらいで、一発で消せる可能性があるよって」

ONEドキュメンタリー取材。無加工おばさん。遊具を回している

美容医療の良い面も悪い面もたっぷり味わってきたカーチャンさん。それでも、多くの人に「一度、やってみたら?」とすすめたくなる気持ちがある。これからは、一歩が踏み出せない人のために、背中を押すプランもあるのだと取材の最後に明かしてくれた。

「どの施術を受けるか、どの医師を選ぶかなどについて悩んでいる人の相談に乗っていきたいと思っています。私のように失敗をされると、下手したら何百万円と修正でかかることもありますから。自分のつらい経験があるからこそ、それを生かして誰かのために役立ちたいと思っています」

ONEドキュメンタリー取材。無加工おばさん。笑顔でカメラ目線
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