結婚式の1カ月半前から始めた美容医療「きれいな姿で、夫の隣に立ちたい」
文: 近藤希星
撮影:小川 遼
取材協力:サクラカフェ日暮里
事務職として働き、休日は家でのんびりとお茶を飲みながら好きな女性アイドルグループの動画鑑賞をするというインドア派。
自分のためというよりも「夫のためにきれいでいたい」
「ウェディングドレスを決めて前撮りも終わったけど、ずっと自信がないまま結婚式まであと3カ月か……みたいな」
人生の大イベントを前に、わくわくと葛藤があったという小澤さん。結婚式を楽しみにしていたご主人の為にもと、花嫁美容を一通り頑張ってみたものの、自分の容姿に納得がいかず、自信が持てなかった。
「11月の結婚式に向けて色々やってたんですけど、びっくりするくらい気持ちが入らなくて……。痩せようと思っても上手く痩せられないし、肌をきれいにしようと思っても上手くいかない。式まで3カ月をきって半ばあきらめてたときに、『いや、まだ間に合うよ』と声をかけてくれたのが美容医療の業界に勤めていた友人でした。『こういうのをやると二十顎とかは取れるよ』という話を受けて、『じゃあ!』と後先考えずに予約をしました(笑)」
他に美容クリニックを探したわけではなく、友人が勤めていることへの信頼があったため、そこで間に合わなければ諦めようと思っていた。
「きれいになりたいと思っても、これまでは仕事や準備が忙しいなど言い訳をして全然上手くいかなかったので、いい機会だと思いました。それに、夫のためにきれいでありたいというのが一番だったので、それだったら頑張れるかなって。予約した院に行くと、カウンセリングから入りました」
結婚式前特有のストレスがなく、表情が朗らかに
「美容医療は敷居が高くて、きれいな人がするもの」という先入観を持っていた小澤さん。動画などで美容医療の情報を見たことがあっても、自分とはかけ離れた世界のようで、最初は不安だらけだった。
「カウンセリングのときに、とにかく気持ちだけで来ちゃったんですと正直に言ったら、『もちろん、それで良いんですよ』と話してくれたり、メスが入ったり糸リフトはちょっと怖かったので求めてないですと言ったら『それはやめましょう』とすぐやめてくださいました。それに、気になっている箇所を言うと『これをすれば良くなると思いますがどうでしょうか?』と専門家ならではの提案もあって、無理強いはしないというか、ちゃんと一人ひとり見てくださってるなという感じでした」
輪郭のボトックス注射とヒアルロン酸注射を中心に、フェイスラインを理想に近づける選択をした小澤さん。カウンセリングによって抱えていた不安は解消されたものの、施術日数とダウンタイムに不安があった。
仕事柄テレワークがなく、連続で休みをとるのは難しかった。そのことを相談すると平日一日ですべての治療を終えられるよう、スケジュール調整をしてもらうことができた。ダウンタイムもコロナ禍を逆手にとって、マスクの着用を徹底することであまり気づかれず乗り切ることができた。
「正直、施術自体の怖さはあまり無かったです。注射の施術では針を見せてくれて『これから打ちます、痛かったら冷やします、麻酔もあります、じゃあ一回やってみましょう』とすべて説明から始まっていきました。私の場合は一日で全部やったので長丁場だったかもしれませんが、先生はゆっくりゆっくり時間をかけて施術してくださったので、安心できました。結婚式前や仕事もあったので、なるべく顔に痕が残らないよう色々と配慮もしていただいたと思います」
駆け込みの花嫁美容を経て、満足のいく結婚式を挙げることができた小澤さん。写真や動画を見て「良い表情してるね」と、ご主人と喜びを共有できたそう。
「普通にダイエットや美容を頑張った方々よりは費用なども掛かってるんですけど、やっぱり掛ける分、身が引き締まりました。あと、私にとって大きかったのは結婚式前特有のストレスが強くかかってなかったこと。食事をたくさん我慢するとか、たくさん走るとか、筋トレを追い込むまでしなきゃとか、ストレスにつながってしまいそうなことを過剰にはしなかったので、準備に集中できたし、身も心も安定して当日を迎えられました。表情も朗らかになれたと思います」
身体の外面だけでなく、内面も診てもらえる場所
きっかけは友人の一言だったが、美容医療の施術に一歩踏み出すことができたのは、周りの後押しもあったから。
「カウンセリングを受ける前に、受けたいという意思は主人に伝えました。やっぱり、美容医療への偏見や恐怖心があるんだったらやめようと思って。ですが、実際には『えっいいじゃん』みたいな感じでした。私も夫の趣味などにはあまり干渉はしないんですけど、夫も良い意味で私への“干渉レベル”が低いというか(笑)。やりたいことなら挑戦してみなよって感じで応援してくれました。家族には反対されるかな?とも思ったんですけど、意外と母は『あっいいんじゃない?』みたいな反応で。『いいな〜、ちょっと気になってたんだよね〜』と話す友達も多くて、みんな“興味はあるけどやっていない”っていう感じでしたね」
施術を受けたことで、外面だけでなく内面の変化も感じたという小澤さん。
「食事制限を徹底したりエステを予約したりなど、美容面で『まだやれるな』ということを進んで増やしていくようになりました。美容医療の施術を受けに行ったはずが、メンタルケアを受けに行ったみたいです(笑)。自信が無い状態で飛び込んだけど、結果的にいろんな人達に良くしていただいて、結婚式のときは自信を持って主人の横に並んで、皆さんの前に立てました。クリニックは、身体の外も中も診てもらえる場所かもしれないですね」
「気持ちを切り替えるときに、美容室で髪をバッサリ切るのと一緒」
「一連を経験してみて、駆け込み寺じゃないですけど、美容医療ってこんなに気軽に申し込んでやっていいんだという気持ちになりました。今では働いたお金を自分に使おうってなったときにハイフをもう一回やりたい!など施術が働くモチベーションとしての一つになっています(笑)」
例えば、美容院で髪型を変えてみたり、ネイルをして気分を上げたり、気分転換にショッピングに行くのと同じように、美容医療も自分の楽しみの一つとして選択肢に入ってくる。
「美容医療って外見を変える印象が強いですけど、それをきっかけに“内面も変われる場所”っていうのを実感しました。気持ちを切り替えるときに美容室で髪をバッサリ切る、じゃないですけど、そういうのに近いなって私は思います。これまでは、限られた方のためにあるものと思っていましたが、自分みたいな人がやっていいんだなあって。結婚式の後も、友人とは花嫁美容や美容医療の話をするようになりました。私の実体験が、誰かのためになるなら嬉しいですね」