「型にとらわれずに自分を好きでいる」
ファッションブランドディレクターの美の気概
撮影:鈴木真弓
24歳。岩手県出身。外国語系専門学校卒業後、アパレル企業に入社し、ショップ店長、マネージャー、オフィシャルインフルエンサーなどを経験。2022年、株式会社Teen2C(ティーンツーシー)に入社し、ブランド「LIVALIE」(リバリエ)のローンチに携わる。アパレル事業部の事業部長として活動する傍ら、文化服装学院にて非常勤講師を務める。個人のSNSアカウントでは約3万人のフォロワーを誇っている。
次の日に着る服を決めてから寝る
明るい髪色と彫りの深い顔立ち、抜群のスタイルで自身の手がけるファッションブランド「LIVALIE」のコーディネートを着こなす藤岡麻生さんは、バービー人形さながらの目を引くビジュアル。「筋金入り」と自認するほどの、ファッション好きだ。
「母がファッション好きで、幼い頃からいろんな洋服を着せてもらっていました。小学校に入って初めて母がティーン向けファッション誌を買ってくれたのですが、可愛い洋服を笑顔で着こなすモデルさんを見て『すごい!』と興奮しちゃって。ボロボロになるまで雑誌を何度も読んで研究して、夜寝る前に次の日に着る洋服を決めてから寝る、という6年間でした。高校生になって、『egg』や『Popteen』『Ranzuki』など、月に5冊くらいファッション誌を買って、気に入った洋服をチェックしては付箋を付けていました。でも住んでいた岩手県では109もないし、同じアイテムを売っているショップもない。古着屋さんを巡ったり、メルカリで探したり、地元の洋服屋さんで似ているアイテムを探したり……。結構涙ぐましい努力をしていましたね(笑)。だから高校を卒業したら、とにかく早く東京に行きたいと思っていました」
この日の藤岡さんが着ている「LIVALIE」のアイテムは、シンプルだけどデザインは個性的。ブランドコンセプトは「型にとらわれずに自分を好きでいる」。藤岡さんが好きになる洋服
は、まさにこれなのだそう。
「子どもの頃から好きなテイストは全く変わっていなくて、シンプルだけどどこかにポイントがあって、カッコいいけど女性らしい、でもカジュアルなアイテムが好きなんです。『LIVALIE』のアイテムは、私の好みが反映されたものが多いですね」
まさに“天職”とも言える職場で活躍している藤岡さん。現在は『LIVALIE』のディレクターとして、デザインのアイディアを出したり、SNSマーケティングの指導などを行っている。
「インスタグラムの中身をどうしたらバズっていくかを分析して、ブランドをどう広げていくかをスタッフに指導しています。文化服装学院でも同様の講義を受け持っています。会社に行くために朝9時に家を出て、19時頃会社を出る毎日。できるだけオンとオフを切り替えたいのですが、SNSはもうあたりまえに自分の生活に入り込んでいるので、家に帰ってゆっくりしているつもりでも、ついSNSをチェックをしちゃっていますね(笑)」
『今のままでいい』と言うのはあくまで彼の意見で、私の希望ではない
平日の夜は、ドラマを観たり、家でゆっくり食事をしたり、お風呂で1時間半身浴をしたり。では、貴重な休日はどのように過ごしているのだろうか。
「休日は“美容デー”ですね。美容ハイフやホワイトニング、脱毛など、美容を詰め込んでいます。海に行くので、毎年夏の終わりにはIPL施術を2〜3回受けます。ヒールの靴を履いたときの“ひらめ筋”が目立つのが気になって、1年前にふくらはぎのボトックスも打ちました。1回の施術で私はかなり効果を感じました」
自分の容姿について「こうありたい」と言う明確なビジョンが生まれたとき、美容医療を受けることは、ごく自然に検討すると言う。
「コンプレックスを補いたいというのは、誰にでもあると思うので自然なことだと思っています。子どもの頃から鼻がコンプレックスだったので、次はもっと外国人っぽく鼻筋を通して高くしたいです。今、絶賛検討中です。彼には反対されましたけど、彼の意見は参考にはしないです(笑)。『今のままでいい』と言うのはあくまで彼の意見で、私の希望ではないですから」
子どもの頃から変わらないただひとつのこと「ファッションが好き」
先に印象を述べたように、バービー人形を思わせる藤岡さん。参考にしている人物はいるのだろうか。
「髪の色がずっとハイトーンなのと、カラーコンタクトをしたりもするので、日本人離れしていると言われることはありますね。あこがれているのは、ジャスティン・ビーバーのパートナーのヘイリー・ビーバー。美しいしファッションも自分の好きなテイストを貫いているし、常に媚びない強い姿勢でいるところが好きです。友人の結婚式に出席するときに、ヘアスタイルを参考にしたこともあります」
そんな藤岡さんがそこまで“外見美”を極める理由は?
「ティーンの頃からヘアサロンに行くのも好きだったし、休日にネイルをするのも好きだったんです。だって、キレイになって後悔することなんてないじゃないですか。仕事を始めてからは、インフルエンサーとして人前に出る活動もするようになって、人の目が気になるようになったのも少なからずあります。前職ではブランドの名前から私を知ってくださる人がほとんどだったのですが、今は私を知ってブランドを知る人が多くなってきた。私が目に立ってブランドを広めていかなくてはいけない、という思いがありますね」
「やりたいことは結構コロコロ変わる(笑)」と言う藤岡さんが、ただひとつ子どもの頃から変わらなかったこと。それは「ファッションが大好き」という思い。念願のファッションに関する仕事に就いた今、疲れているときも辛いときも、常にポジティブな心を持つようにしているのだそう。
「ありがたいことに、落ち込んでも寝たら忘れるタイプなんです(笑)。夜落ち込んでも『明日考えよう』と寝ちゃうし、次の日天気が良ければもう『さぁ今日も頑張ろう!』って、それだけ。落ち込んだ夜でも、子どもの頃と同様に、次の日に着る洋服を決めてから寝ます。きちんと決めておかないと納得がいくまで何回でも着替えちゃう(笑)。ファッションは私の生活の中心。今はそれが仕事にできて幸せですね」