自分のよさを引き出す見た目に整えれば、誰もがパワフルな存在になれる
撮影:森山 越
手堅い仕事から一変
その人の“良さを引き出す”メイクやファッションの提案に
渡部さんが現在メインに取り組んでいる仕事が「イメージコンサルタント」だ。これは具体的にどんな内容の仕事なのだろうか?
「日本ではそれほど浸透はしていないですが、もとはアメリカが発祥の、その人がなりたい理想像に合わせて、服やメイクなどをコンサルティングする仕事です。主にパーソナルカラー診断、骨格診断、顔タイプ診断を組み合わせて、その人の特徴を理論や数値等で客観化。より適したメイクやファッションの提案から、垢抜けするきっかけをお手伝いするサービスです」
渡部さんは、もともと美容やファッション関係の仕事に従事していたわけではない。大学卒業後は米国系銀行の営業職として就職。ほどなく起こったリーマンショック、そして結婚を機に銀行を退職。その後、教育業界や大学不動産に関する業務、ホテルの建物・設備関係の業務など、多岐にわたって仕事をしてきた。
これらの仕事は、むしろ「イメージコンサルタント」とは真逆ともいえる、手堅い仕事ばかり。また、仕事の先々で必要性を感じ、証券外務員・内部管理責任者、簿記、数学検定、TOEIC(910)、管理業務主任者(マンション管理)などといった比較的難易度が高い資格をいくつも取得している。その数は、現在30種近くにのぼるというから驚きだ。
ピーリングで肌が変わり、美容への興味スイッチがON
渡部さんが「イメージコンサルタント」という仕事に着目したのは、ほんの数年前のこと。SNSでイメージコンサルタントの仕事に興味を持ち、学んだことが、この仕事を始めたきっかけだ。加えて美容クリニックで受けた施術も、大きなきっかけとなったという。
「社会人になって報酬を手にするようになってから、コスメやマッサージなど毎月10万円を超える金額を美容に費やすようになっていました。そんな中でも、2020年頃に受けたエレクトロポレーションは大きな衝撃でした。ニキビ痕の凸凹で悩んできた肌が、生まれて初めての手触りになったんです。そこからまるでダムが決壊したみたいに、肌や顔周りに関する施術を中心に受け始めました」
渡部さんが小学生の頃から長年悩んでいたのがニキビ。薬を塗っても次々と現れるニキビのせいで、肌は赤みを帯び、凹凸になっていた。見かねた母親が色つき下地を渡してきたほどだ。修学旅行では誰よりも早く起きて隠れるようにしてニキビをカバーしていた過去がある。
「お友達にも、肌を見ては『どうしたの?』って言われてきました。そんな自分を変えてくれたのが美容医療だったんです」
ニキビ痕の赤みを抑えるために高周波のシルファームを当て、超微細針で肌に穴を開けるダーマペンと、皮膚深部まで有効成分を届けるヴェルベットスキンという美肌治療も取り入れた。
シャープでシュッとしたフェイスラインにあこがれて手技による小顔矯正を受けてきたが、その場しのぎの効果に見切りをつけ、美容医療へシフト。丸顔のエラが目立たないように脂肪溶解注射やボトックスを打ち、脂肪吸引であごとエラの脂肪を除去。小顔に見えるようにリフトアップのために糸リフトを、そして超音波でたるみを引き上げるハイフを受けた。美容医療を重ねるほどに長年悩んでいた肌質は徐々につるりとした手触りへと改善し、フェイスラインは理想に近づいていった。
「中には痛い施術もありましたが、悩みから抜け出せるのであれば、一時的な痛みも乗り越えられる。それよりも変わっていく自分が楽しいです」
自分らしい美の追求は、いくつになってもあきらめなくていい
渡部さんのSNSにはこんなつぶやきがある。
(略)女性は外見を整えるとエネルギーに満ち溢れて活動的になるということ。
家族だけでなく、すべての周囲の人にとって太陽のようなパワフルな存在になっていく。しかもあっという間だからすごい!
中途半端に小綺麗だと嫉妬の対象になってイジワルされたりする。
だから突き抜けちゃえばいい。(中略)私はプチプラをやめて服装をアップグレードしたら自信がついて言動が変わってイジメがやんだ。
高嶺の花化は生きていくためにも結構有効だったりする。
これは、すべて渡部さんの経験に基づいた実感だ。
若い頃は、自分の肌や丸顔に対して失望し、自分らしく生きることをあきらめていた。だからこそ勉強を重ねて金融業界に入り、世間的に言う「手堅い仕事」に就いた。
「これまでは自分の人生に保険をかけながら生きてきました。でも、美容医療に出合ったことで大きく考え方が変わりました。40歳目前にして、まさか自分がここまで変われるとは思ってもみなかった。『ちょっと自分、いいじゃん? 自分史上一番肌がキレイじゃない?』って。この先、キレイになることを諦めなくていいんだ、って思ったんです」
あこがれは女優の中谷美紀さん。これまでの知識や経験、イメージコンサルタントの仕事やメイクの学びを通し、強さやかっこよさを演出するファッションやメイクを自身でも目下研究中だ。
美容は、自分も人も幸せにできる「エンターテインメント」
渡部さんは2022年「あやめ総合サービス」を立ち上げ、独立。今まで取得した資格を生かして事務代行業や英語講師、占い師等の仕事を行っているが、今後メインにしていきたいのは、行動心理士などの資格を複合的に生かし、その人に合ったファッションやメイクを提案するイメージコンサルタントの仕事。
「美容で変わっていく自分が面白くて、これを仕事にしたらどんなに楽しいのだろうと。自分が変われたように、イメージコンサルティングを受けて喜んでくださる方がいる。まさに一石二鳥です。それに小さい頃、先生になりたいって少しだけ思っていて。今、パーソナルスタイリストとしてお客様と一対一でいると、『先生』って呼ばれることもあるんです。それがうれしいですね」
SNSでは顔出しで、美容医療の施術前後の動画リポートも。中には50万回再生された動画もある。
「みんな知りたい内容だろうし、好きな話題かなと。だから反応もあるし喜んでくれる。『私は決してかわいくはないですが、でも努力はします』の姿勢で身体を張り、美容で伴う痛みも正直に告白しています。その姿がウケてるのかな? 自分も変われて、見ている人にとっても為になる。私からしたら美容は、人も他人もハッピーにする、エンターテインメントですね」