中学の頃からニキビに悩み続けたOLの、完璧すぎる肌投資計画
撮影:小川 遼
1985年生まれ。九州出身。新卒で医療系の事務職に就職した後は、一貫して医療領域の仕事に従事。趣味はダンスとヨガ、ウェブデザインのスクールなど。
上限毎月2万円がマイルール。無理なく計画的に肌投資を楽しむ
都内でOLをしているみかさんは、ボーナスが出る月でもない限り、上限毎月2万円までというマイルールを設けて、美容医療に通っている。施術をするのは基本的に“肌”だ。
「肌以外だとエラボトックスと脂肪溶解をやったことがあるくらいで、ほかの美容医療はやっていません。ほとんど、肌に全投資しているんです(笑)。お金の使い方も肌に徹底しています。私はネイルはやらないんですけど、友人たちがネイルやエステに行く代わりに、美容クリニックに行くんです」
11年前に美容医療に通い始めてからというもの、肌をきれいにするためにあらゆる施術を試してきた。今では治療に対する造詣も深い。それぞれの治療のダウンタイムや持続期間を計算しながら、今月はどの施術を受けようかと決めているそうだ。目標は40歳になったとき、自分史上一番きれいな肌をつくることだと言う。
「カレンダーを見ながら、計画的にやっています。ダーマペンは1週間くらいのダウンタイムがあるから、この辺りに行こうとか。それぞれの施術も、それをやったことで自分のコンプレックスのどこが解消するのか。解消するとどんな気持ちになって、何ができるようになるのかまで全部書き出して、どれを受けるかしっかり考えます。計画をするのが得意なので、もしかしたら秘書に向いているのかな(笑)」
睡眠、食事、化粧品。
何を改善してもニキビに悩んだモヤモヤ時代
取材中、常に笑顔を絶やさないみかさんからは陽気な印象を受けた。でも、美容医療を始める前は違う性格だったという。昔の写真を見ると「目が死んでいる」そうだ。
肌にコンプレックスを抱え始めたのは中学校1年生のとき。顔全体にニキビができた。こんなにニキビだらけでは、一生彼氏ができないのではないか。好きな人なんて、作ってはいけないのではないか……。思春期の多感な時期だったため、深く落ち込んだという。
劣等感を抱えると、友達がする化粧の話題にも入っていけなくなった。メイクはちっとも楽しくなかった。
「この年頃って、周りの子は色付きリップやアイシャドウを買ったりして、メイクを楽しみだすんですよ。でも私はそんなことを言ってる場合じゃなかった。(ニキビで)顔が赤いんだから、青いアイシャドウなんて塗っている場合じゃないと思っていました」
コンプレックスを解消するために、あらゆる努力を始める。中学生の少女には高価な3000円の洗顔フォームをお年玉で買ったり、受験勉強がどんなに忙しい時期でも、必ず12時前には寝て睡眠時間を確保した。肌にいい豆乳を飲み、カップ麺や冷凍食品など吹き出物が出そうなものは食べなくなった。それでもニキビは消えてくれなかった。
高校や大学でもひたむきな取り組みは続いた。大学2年生の頃にニキビは薄くなってきたが、その後はニキビ跡に悩まされるようになる。ついには、知識を増やすためにドラッグストアでアルバイトを始めた。バイト代は、評判のいい基礎化粧品に使ったという。
この頃の、消えない思い出がある。大学1年生のとき、高校の頃から憧れていた先輩にご飯に誘われたのだが、怖くて断ってしまったそうだ。
「こんなに肌が汚い人と一緒に歩きたくないだろうと思っちゃって、誘ってもらったのに行けなかったんです。かっこいい先輩でした。今でも思い出すと胸がシュンとなりますよ」
泣きたくなった婚活パーティーで決意
施術で性格や行動にまで変化が
みかさんが美容医療を始めたのは、26歳のときに出席した婚活パーティーがきっかけだった。その日は、空が曇っていたという。
「肌にコンプレックスを持つ人にしか分からないと思うのですが、曇りの日の白っぽい光は、毛穴のでこぼこが目立つんです。それで男性と話しているときに、その白い光が入ってきて、ふと泣きたくなってしまいました。笑えない。帰りたい。どうしよう。何回も何回も、ファンデーションを塗りにトイレに行きました」
その帰り道、美容クリニックに行くことを決意した。苦手なイメージを持つ美容医療だけれど、こんなに辛いのなら、誰に何を言われてもいいから行ってみよう、そう思ったという。初めての施術は肌の凹凸やくすみを改善する効果があるというフラクショナルレーザー。たった1回の施術でうそみたいに肌がきれいになったと振り返る。
「毛穴がひどかったんですけど、今まで何を悩んでいたんだろうというくらい一気に変わりました。『全然違うじゃん! ありがとう、何十万円かけても私はこれをやっていくよ』って思った(笑)」
「それまではメイクをするときに、自分の肌を肌色に戻すことに全力を注いできたんですけど、これからは色味を加えてもいいんだと思いました。チークやリップやアイシャドウの色を選べるようになって、化粧自体を楽しめるようになりました」
長年戦ってきたコンプレックスを、初めて一段階克服することができた。その自信が、みかさんの性格や行動をも変えていく。趣味のダンスでも、ステージの上に立つのが怖くなくなり、施術を重ねるごとに、目にも自然と力が宿っていったという。
美容医療の偏見が180度変わった。
肌で悩む人の背中を押したい
みかさんは、美容医療が自分を変えるきっかけになったと断言する。
「周りの人も褒めてくれて、どんどん行動的になりました。他人の目が気にならなくなったんです。だから、私にとって美容医療は“踏み出すきっかけになるもの”。たとえフラれて自信がなくなっても、施術をして肌がきれいになると、また出会いの場に行ってみようと思えたりしますから。背中を押してくれるものなんです」
だからこそ、発信したいことがあるという。「美容医療に対する偏見を変えたい」。施術を受ける前の自分も偏見を持っていたけれど、そういう人にこそ、自分が感じた効果を伝えたい。今後はSNSなどで、肌に関する美容医療の情報発信をすることも検討しているそうだ。
「経験者がもっと発信をしていけば、美容医療全体の印象が変わるのかなと思っています。このメディアも、私みたいなイチOLが出ていいものか悩みました。でも、昔の私みたいに肌で悩んでいる方がいるなら、明日にでも行った方がいいと、背中を押したいと思ったんです。」
これからの人生の目標を聞くと、「人の役に立ちたい」という利他的な答えが返ってきた。最後に自身のルーツを振り返り、これから目指す生き方についても語ってくれた。
「私の家は片親でしたが、兄と私を大学まで行かせてくれました。お母さんが育ててくれたことに対して、自分がしっかり生きられているのかを問い続けているんです。だからこそ、自信を無くして生きているのが嫌でした。今でも自信満々なわけではないですけど、人のために、噓なく、ズルなく、明るく生きたいと思っています」