コンプレックスととことん向き合う
メンズ美容コンサルタントの美容医療
撮影:荒 眞人
平日は会社員として、広告代理店でマーケティング業務を行いながら、休日はメンズ向けのメイク・スキンケアコンサルタントとしても活動。趣味は読書、自然鑑賞、散歩。
よーく見たら、荒れ放題だった肌
学生時代は野球部一筋で、「メイクやスキンケアなんて考えたこともなかった」と語るtakumiさん。しかし、部活を引退後、心と時間に余裕ができて、自分の容姿が気になり始めたのだという。
「今まではヒゲ剃りのときくらいしか自分の顔を見ていませんでしたが、改めて自分の顔をまじまじ見てみたら、日焼けやニキビで肌が荒れていて、とても綺麗な状態とは言えませんでした。一度気づくと、ほかにもいろんな部分が気になりだして、気がついたらコンプレックスだらけに。そこから、どうにか改善できないかと、模索する日々が始まりました」
メンズメイクへの偏見も、肌への悩みも、
BBクリームで一変
元々、気になったらとことん追求するタイプのtakumiさん。どうすれば肌荒れが治るのかを調べ、皮膚科に通ったり、自身に合うスキンケアを見つけるためにさまざまなものを試した結果、社会人になる頃にはどうにか肌荒れを改善。しかし、ニキビ跡や肌の凹凸、色ムラなどはいくらスキンケアを頑張っても改善されなかった。そんなとき、目に留まったのが“メンズ用BBクリーム”だった。
「店頭で買うのは勇気がいるので、ネットで肌色補正ができるBBクリームを買ってみたんです。それまで、漠然と『男がメイクなんて……』という偏見があったのですが、実際使ってみたら、メイクしている感もなく、肌がきれいに見えてびっくり。偏見が覆されて、一気にメイクへの興味が湧きました」
消防士から美容業界へ転身。
自らの顔と向き合って気づいた「ヒゲ脱毛」という選択
それから本格的にメイクの勉強を始め、新卒で入った消防士を退職し、美容業界へ。コスメブランドの美容部員として働きながら、さらに自分の顔と向き合っていくなかで、「メイクである程度のコンプレックスは改善できるけど、根本的な解決は難しい部分もある」と感じたtakumiさん。最初に気になったのは、ヒゲの剃り跡や青みだった。どうにかならないかと調べ、そこで美容医療のヒゲ脱毛を知る。
「ヒゲは、いくら丁寧に剃っても結局青みが出てきたり、肌を痛めたり。メイクで隠すのにも限界がありました。だから思い切ってヒゲ脱毛に挑戦してみたんです。『痛い』という口コミが多くて最初は不安で、たしかに痛かったんですが(笑)。正直痛さというマイナス要素よりも、ヒゲが薄くなったり、肌荒れが改善したりするほうが嬉しくて、耐えられましたね。スキンケアやメイクだけではどうにもならなかったので、美容医療の凄さを実感しました」
コンプレックス解消に役立った施術もあれば、
やりすぎた施術もあった。
また、学生時代から気になっていた顔のニキビ跡や毛穴の目立ちも、同じ理由で美容医療を活用。レーザーや超極細針で微細な点状の孔をあけて新しい皮膚の再生を促し、ニキビ跡や毛穴の開きの改善へと導く“フラクショナルレーザー”や“ダーマペン”を受けた。
「回数を重ねるごとにニキビ跡のクレーターや毛穴が目立たなくなって、メイクのりも良くなりましたね。人と喋っているときも、『コンプレックスの部分を見られてないかな?』という気持ちが減って、ちゃんと目を見て話せるようになったんです。必要以上に自分の顔を気にすることがなくなり、それが心の余裕にも繋がりました」
ほかにも、顔のホクロの除去や、二重幅の左右差を整えるために二重埋没も実施。スキンケアやメイクで改善できない悩みは、美容医療を活用することで、コンプレックス解消につなげている。しかし、なかには「自分的にはやらなくてもよかった」施術もあったという。
「当時エラボトックスという文字をSNSでよく見ていて、『試しにやってみようかな?』と思って試したんですが、元々輪郭がほっそりしていたこともあり、よりシュッとしてしまって。痩せ過ぎて不健康な輪郭になってしまいました。半年ほどで効果の切れる施術だったからまだ良かったですが、流行りだからと安易に考えず、自分に合っているかどうかを第一に考えるべきでしたね」
経験から得た「自分に合った美容を選ぶこと」の大切さを伝えていきたい
スキンケア、メイク、美容医療。自身が抱えるコンプレックスを解消するためにさまざまなものを試して、知識や経験を得たtakumiさん。「自分が味わった感動を他の人にも伝えたい」「男性がもっと身近にメイクやスキンケアを学べる場をつくりたい」という思いから、現在は会社員をしながら、メンズ向け美容コンサルタントとしても働いている。
「メイク講習では、基本的なメイク・スキンケアの仕方や、モノの選び方、コンプレックスをカバーする方法などをマンツーマンで教えています。『美容に興味はあったけど、どうすればいいのか分からない』という男性は意外と多いんです。そういう方の力になれることにやりがいを感じますね」
コンプレックスは、顔や体といった表面上のものだけではなく、心も密接に関係している。自身のコンプレックスととことん向き合ってきたからこそ、お客さんの心に寄り添える美容コンサルタントになれたのだろう。
「美容医療だけやればいいかというとそうではなくて、日々のスキンケアや日焼け止め、メイクも自分にとってはもちろん大事です。スキンケアで改善できるならスキンケアで、メイクでカバーできるならメイクで、それでも難しかったり、根本的に改善したいと思った部分は美容医療で。自分じゃ分からないならプロに相談。自身に合った選択をすることが大事だと思います」
自分にも、お客様にも、とことん向き合うことで見えてくるもの
コンプレックスをそのままにしない。言うのは簡単でも、実際に行動に移すことは大変だ。時間もお金も労力もかかる。しかし、takumiさんは「自分のことを好きでいるため」に、これからまたコンプレックスができたとしても、都度向き合っていくのだと教えてくれた。
「コンプレックスを改善するまでは、コンプレックスの塊で、自分のことが嫌いだった。でも、それってすごく悲しいことです。自分はずっと付き合っていかなければならない存在だから、嫌いなままでいるのは辛いことのほうが多い。しっかり向き合ってみたら、心に余裕ができて、他の人のことも考えられるようになり、それが仕事にもなりました。これからも、僕を頼ってきてくれた人に、少しでもプラスの影響を与えられるような人間になりたいですね」