予測不能な人生だけど
美も学びも、先取りすれば憂いなし

撮影:石田 祥平(ブルーリー)
取材協力:CHIMNEY COFFEE 渋谷本店(@chimney_coffee)、店舗サイト(https://chimney-coffee.com/pages/cafe)
2024年のミスコンでは「より多くの人の健康を守り、誰もが健康のために不条理な搾取をされない未来に貢献したい」という思いを一つの目標として掲げた。その思いの背景や、美容医療を含めた日々の美容ルーティン、石垣さんが考える“美”について伺いました。
ニューオーリンズでの経験を生かして東大合格
大阪出身の石垣さんは、小さな頃から勉強が得意で好きな一方、建築物など芸術に関心があった。
関西にある大学を目指したこともあったが、先輩の影響でアイドルコピーダンスサークル「東大娘」に憧れ、高校の先生からの後押しもあり、東大を志すことに決めた。

「中高一貫校だったので高校受験はありませんでしたが、勉強を一番頑張ったのは中学3年生の頃かなと思います。
大学受験直前の模試判定で落ち込むのは嫌だし、早いうちに努力しておけば、高校3年生の頃には楽ができると思いました」
独自のペース配分と努力で、東大に見事合格。
石垣さんの、その時々でできる努力を常に前倒しする習慣は、アメリカでのアウェー経験がきっかけだ。
「小学1年生のとき、親の仕事の都合でニューオーリンズに移住したんです。
日本人どころかアジア人もほとんどいないなか、英語も話せない自分が存在感を示すには何ができるだろうかと考え、得意な算数を頑張って学年トップになりました。
『英語は話せないけど勉強ができる子』というポジションを確立できたんです。予測不能なことが起きても、そのときに自分ができる努力を最大限しさえすれば対応できると学びました」
自分の努力だけは信じられる
東大に入ってからも、石垣さんには予測不能なことがたくさん起こった。
「ミスコンに出たのもそうですし、インターン先では起業志望の学生数百人のコミュニティの運営をすることになり、どれだけ時間がかかるかわからない取り組みに向き合うことになりました」
しかし1年生から授業を詰め込んできた甲斐あって、それぞれの取り組みにしっかり向き合うことができた。
ミスコン活動では「準ミス東大」に選ばれ、インターンでも学生同士の交流会や勉強会を開くなどで結果を残せた。
充実した毎日は「自分の努力だけは信じられる」という精神で、勉強を前倒ししてきたことの賜物だ。

摂食障害だったからこそ、同じ状況に苦しむ人を助けられる
石垣さんは、中高生時代に摂食障害になったことがある。
「成長するのが人より早く、小学5年生のときには身長も体重も今と同じくらいでした。
中学生になって周りの目を気にすることもあって、『自分は太っている」と思い込んでいたんです。ダイエットがエスカレートして体調を崩し、人間関係もうまくいかなくなりました」
「ミス東大コンテスト」に出たのはその経験を発信するためでもあった。
「摂食障害を克服した私だからこそ、同じ状況に苦しむ人を助けられると思いました。
最初は自分の経験を話すことに抵抗がありましたが、発信してみると『実は私も…』と打ち明けてくれる人も多くて。発信する側に回ったことで、自分も救われています」
二重幅を広げたら、アイメイクのバリエーションも広がった
初めて美容医療を受けたのは高校2年生の春のことだった。
「二重埋没を受けました。一重だった自分のこともかわいいと思っていたけど、世間的に『二重がいい』という風潮に押されてしまっていたのと、当時は、インフルエンサーの人たちが紹介するメイクは二重まぶたに合うものばかり。
当時仲良くしていた先輩に勧められたこともあって受けることにしました。

親は反対していましたが、ずっと私が『絶対に二重施術したい』と言い続けていた上に、『その分しっかり学業も頑張るし、自分でバイトをしてその費用を返す』と伝えたので、もう仕方ないという感じで、そのときは費用も出してくれました」
クリニックは安心感が持てる、大手で一律料金のところに決めた。
「そのときは周りにバレたくなくて、奥二重っぽい二重にしたので周りからはあまり気づかれませんでした」
大学入学前には自分への合格祝いに糸リフトをした。
「どうしても受験のストレスで太ったので入学する前にしたかったんです。
第一印象は大事だと思いました。効果はあったのですが、施術して1,2日は口が動きづらくて衝撃的だったのを覚えています」
大学に入ると、インターンやサークル活動を通して美容医療経験者の友達も増えた。
「二重施術をしている子も意外と多くて、私も幅広の二重にしたくなって。友達の口コミで安いクリニックも見つかって、2年生のときに二重切開を受けました。
1週間後に抜糸しましたが、そのときにはほとんど腫れも引いていました」
術後に一番変わったのは、アイメイクがしやすくなったこと。
「二重まぶたのインフルエンサーさんおすすめのメイクができるようになりました。好きなメイクで自分がかわいく見えるようになったことがすごく嬉しかったです。
自分でさまざまなメイクや美容法などを試してみて発信することにも興味があったので、そのためにもして良かったなと思っています」
自分のためにお金を使っているという事実が自信につながる
その後、エラボトックスやヒアルロン酸注射、ハイフ、インモードなども経験した。韓国で美容医療を受けたこともあるという。

「韓国では日本に導入されていない施術を試せるのがいいですよね。
エラボトやヒアルロン酸は効果があるけど注射は痛いし、お金もかかるので今は控えて、肌管理に集中しています。
肌の調子はとても重要です。肌がきれいになるとテンションが上がります」
服やコスメにもお金は使うが、肌管理にお金をかけるのは「自分自身に投資している」という意識が強い。
「摂食障害を患っていたときは自己肯定感も低く自分を大切にできませんでしたが、今は、自分のためにお金を使っているという事実が、自信にもつながっています」
自分を追い込むことが好きなんです
現在は数カ月に1回、美容医療やエステを受ける。
「エステも、自分を大切にしていると感じられるものの一つ。美容医療は比較的コストが高いので、セルフケアやエステでカバーできない部分のみ利用しています」
以前は食生活が乱れ、肌も荒れてしまったこともあったというが、現在は栄養バランスの良い食事をこころがけている。
「タンパク質は、1日に自分の体重の数値くらいのグラム数をとった方が良いと聞いて、卵や鶏肉、プロテインドリンクなどで積極的に取るようにしています。
フルーツも高いけど買って食べるようにしていますね。肌荒れのときはチョコラBB、キレートレモンを飲みます。
最近はインフルエンサー福岡みなみさんのYOKUBARIというサプリメントもお気に入りです」

「東大娘。」では踊っている際に、さまざまな角度からカメラを向けられても対応できるよう、アングルごとの「正解の表情」のつくり方も徹底的に研究。
いっぱい食べるので、ほぼ毎日2キロ走って体型もキープしている。
「自分を追い込むことが好きなんです。それに、毎日ルーティン化させて『できた』ことを少しずつ増やすことで自分が好きになれる。これも自己投資の一環です」
いま目指すのは、「二次元的な顔」
美容にお金をかけているぶん、普段は学食などの500円ランチを食べるなどで節約しているが、休日はカフェ巡りをして食について発信している。それは摂食障害の経験が関係している。
克服した今感じるのは、自分の好きなように生きた方がいい、ということ。
「今している食の発信も、ただ『食べるのが好きなら、食べたっていいじゃん』という、私が摂食障害のときにはなぜか信じられなかった当たり前のことを伝えたくて、都内のグルメ情報などを紹介しています」

将来の夢はまだ定まっていない。
芸術に関心を持ち、高校時代は建築物のデザインに憧れ、その後まちづくりにも興味がでてきた。
今は自分の経験を生かして、摂食障害の人が集まり悩みを相談できるようなwebサイトなどをつくってみたいという。
方向性は一見異なるようで「人の生きやすさ」を求める共通点も感じられる。
「私自分のこだわりが強いから、そのぶん人のこだわりも許容できるし、大切にしたいという思いは強いです。
卒業後はいったんは企業に就職し、たくさんの人脈をつくったり、社会人として一人前になりたいのですが、ゆくゆくはカフェを開きたい、と思う気持ちもあります。
東京の中だと、たとえば私はアイドル、アニメ、ゲームのオタクで、オタクコンテンツがいっぱいある池袋が大好きなので、池袋に開いてもいいかななど考えています。
自分の好きな音楽かけて、自分の好きなコーヒーを提供する空間をつくって、そこに人が来てくれたら嬉しいですね。
一方で、自分の人生を考えたときに、早く結婚して子どもを産んで、専業主婦になった方がいいのかな、などと将来のライフプランを悩むこともありますけど」
一貫しているのは「自分のありたい自分であり続ける」ことと「自分で何かをつくり続ける」ことだ。

「今は、たとえば専業主婦になって子育てをするとしても子ども服をつくるとか、
起業するにしても、何の事業でも良い訳ではなくて、人材派遣とかコンサルとかではなく、ものをつくる会社をつくりたいなどと考えています。
いずれにせよ自分がいつかの時点で影響力を持つことは必要なのかなと思っていて、それによりプラスな効果をもたらすためにも、外見を更新し続けていきたいですね」
実はもともと効率主義で、メイクやスキンケアも本当は面倒。
それでも外見を磨くのは『こうなりたい!』という思いが強いから。
「今は自己肯定感をあげるためというより、発信媒体としての自分をかわいくつくり上げたいという芸術家肌なところがあって。
今目指しているのはAIで生成されたような、二次元的な顔です。賛否両論はあると思いますが笑
内面的には頼り甲斐がある人。人に頼ってばかりなので。知人に安心感がある聞き上手な人がいて憧れています」
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