コンプレックスがあった自分だから、人の魅力を引き出す仕事ができるんだと思う
“女性として見られない人生”に対する恐怖
Rihokaさんが明るく話し始めてくれたのは、幼い頃の出来事。
「昔は今よりもっと太っててブサイクで、小学生の頃はいじめられてました。中学受験をして中高大一貫の女子校に進んだんですけど、隣町の男子校の子に写真を撮られて、『長州小力に似てると思ったらRT(リツイート)』とSNSに拡散されてしまって。私は女性らしく生きるのは無理なんだって思いましたね(苦笑)」
それでも中高生の間は身体を張って笑いを取りにいったりと明るく、自分なりに楽しんで過ごした。一方で、女性としての自分がすり減っていく気がした。
「高校3年生の時点で二重施術をしている友達がいて、当時一重なことがコンプレックスに感じていたので、私もやったら変わるかなって思ったんです。手術の怖さはあったけど、それ以上に女性として見られないこと、自分が自分を受け入れられないことの恐怖の方が大きかったから」
二重施術をした友人などにこっそりと「どの病院でやったの?」「どのくらい腫れた?」と聞き、準備を進めたが、母に反対されてしまう。
「でも、祖母が賛成してくれたんです。『二重にしたらさらにかわいくなるから、悩んでるんだったらおばあちゃんがお金を出すよ』って背中を押してくれて。母には悲しい思いをさせちゃったけど、最終的には『二重にして前向きに生きられるならやりなさい』って言ってくれました」
ダウンタイムの間は、「これでよかったのかな」と不安がよぎることもあった。しかし、いざ二重になった自分を前にすると、気持ちは晴れ渡っていく。
「メイクもファッションも、いろんなことに挑戦できるようになりました。大学ではラクロス部に入ったんですけど、ラクロス部の子って基本すっぴんなんですよ。私も二重になって、すっぴんに自信が持てたから、ラクロスに挑戦できたんですよね」
理想を求めすぎてしまった自分を支えてくれた友達
大学時代に精を出したラクロスでは、地区の代表に選ばれたり、部のキャプテンを務めたりと、結果を残すことができた。
「代表のときのコーチの『全ての手段を尽くしたのか。その手段が全てダメだったときにようやく無理だった。と諦めればいい』という言葉が、私の意識を変えましたね。美容においても私がかわいくなるなんて無理って思ってたけど、かわいくなろうとしたこともないのに無理って決めるのは早いじゃんって」
このままではいけないと思い、メイクを覚え、着痩せできるファッションを研究し、ダイエットのためにパーソナルトレーニングにも通い始める。二重以外の美容医療も取り入れた。
「美容医療もダイエットも、理想と現実のギャップを埋める手段なんですよね。それって沼というか、終わりがないんですよ。私も『もうちょっと痩せたい』って気持ちが強くなりすぎて、摂食障害になった時期がありました」
たくさん食べることでストレス発散するものの、太ることに嫌悪感を抱くため吐いてしまう。いつしか、1日中食べもののことしか考えられなくなっていた。
「当時、友達が撮っていた動画を見たら、私が3分間ずっと天井を見ながら揺れてたんです。自分でも怖いと思ったし、友達も心配してくれていたみたいで、ちょっと茶化しながらも『Rihoka、大丈夫?』って声をかけてくれて」
中学生の頃から仲良くしてきた10人の友達がいる。変化を見守ってくれた彼女達に、「どうやって生きていけばいいかわからない」と、本音を打ち明けた。
「10年一緒にいた友達が、私のために涙を流して心配してくれたんです。大学卒業を間近に、私のせいで悲しい思いをさせていることが申し訳なくて、楽しく人生を生きたいと思いました。友達も『いっぱい楽しいことしよう』って、いろんなところに連れ出してくれて」
どんな姿でも認めてくれる人が近くにいてくれることが支えとなり、摂食障害は徐々に改善していった。
“本来の良さ”を引き出すために美容を取り入れる仕事
社会人になり、友達と離れ離れになると、再びネガティブな自分が顔を出す。仕事で小さなミスをしただけで、「仕事できないやつって思われてるかな」「私って嫌われてるのかも」と考えてしまった。
「その中でふと思ったんです。いままで美容に関するいろんなことに挑戦して、『かわいくなったね』って言ってもらえるのがうれしくて、普通の女の子よりもたくさんの美容に挑戦してきたから、それを生かした美容のお仕事をしてみたいって」
ファッションやメイク、美容医療、フィットネス、すべての経験を糧にするため、トータルプロデュースできる職業を探した先にイメージコンサルタントがあった。
「私も自分を変えようと思って苦しんでたけど、もって生まれたものは変わらないんですよね。そう思ったときに、その人本来の良さをより良く見せるイメージコンサルタントって素敵だなって感じて、これを目指そうと動き始めました」
大学生の頃から、友達にファッションやメイクの相談を受けることがあった。しかし、自分に似合うものは分かっても、その子に似合うものをアドバイスできないことに悔しさを感じた。その経験も原動力のひとつ。
「今は骨格やパーソナルカラーを診断した上で、『肩にフリルがついてる方がいい』『この色の方が似合う』ってアドバイスができるし、コンサルティングを受けてくれた人の表情が変わっていく姿を見ると、私もうれしくて涙が出てきちゃいます」
外見にコンプレックスを抱いてきた自分だから、人の気持ちに寄り添う仕事ができる。現在は、SNSを通じて美容医療やフィットネスなど自身の経験した美容について発信もしている。
「その人の悩みに誰よりも共感できる自信があったので、今の仕事を選びました。いろんな方法を取り入れて今の状態に至った自分にも自信があるし、みんなにも自信をもってほしいんです。変化を喜ぶ気持ちを大切にして、“世界一楽しく”コンサルティングしていけたらいいなって思ってます」