職業、電気工事士。仕事は、自分磨きを諦める言い訳にはならない
撮影:小川 遼
1993年、東京都生まれ。高校卒業後、電気工事士として働く。趣味は筋トレ、聴く読書。
昔は仕事ばかりで、美意識なんてなかった
仕事では、主に木造新築の電気配線工事を担当しているというRyoさん。週6勤務で朝は5時起き、帰りは夜。自分の時間はあまりない。しかも、木くずやホコリが舞う場所での作業が多く、日によっては床下に潜ったり、電線を埋めるための穴掘りで泥だらけになることもあると言う。
「現場作業員は皆そうだと思いますが、とにかく肌が汚れやすい環境での仕事です。俺は、もともとニキビのできやすい肌質というのもあって、スキンケアをしていなかった頃は相当肌荒れしてたと思います。しかも、基本的に外での作業が多いから、夏は暑さですぐ痩せちゃうし、仕事後は疲れて何も食べずに寝るなんてこともありましたね。今思えば、肌的にも身体的にも、相当良くない生活をしていました」
健康診断で医者に「痩せすぎ」と指摘され、ボディメイクを開始
10キロ増量するあいだに、美意識が変わっていった
5年前のRyoさんの体型は身長183センチ、体重58キロ―――。183センチの成人男性の平均体重は74キロ程度、痩せ型でも62キロ程度とされているため、当時のRyoさんはかなり痩せていたことが分かる。「もともと太りにくい体質なうえ、食に対して興味がなく、食べることはむしろ面倒だった」というRyoさん。しかし、健康診断で医者に「痩せすぎ」と指摘され、やむなくボディメイクを開始。筋トレと食生活の改善を行い、10キロの増量を成功させた。見た目の変化はもちろん、今思えばそこから“美意識の変化”もあったという。
「最初はただカロリーの高いものを食べればいいと思ってジャンクな食事をしていたんですが、すぐに肌荒れや体調不良につながりました(笑) それから『健康的に太るためにはどうすればいいか?』を考えはじめて、食生活の見直しをして。脂肪ばかりになっても嫌だから、筋トレも始めて。10キロ増やすのに5年以上かかりましたが、食べ物や筋トレで肌や体調が整うのがわかり、『せっかく肌が綺麗になってきたんだから日焼け止めくらい塗ろう』『ジムで薄着になっても大丈夫なように脱毛しよう』とか、細かな美意識が芽生えていきましたね」
肌トラブルのすべてが食生活やスキンケアで解決できるわけじゃないと知った
これまで目を向けていなかった部分に意識がいくようになったRyoさん。しかし同時に、“自分でできる限界”にも気づく。というのも、Ryoさんは学生時代に肌ケアをしていなかった影響で、顔にニキビ跡の凹凸があった。調べたところ、スキンケアでの改善が難しい症状だとわかったという。そのため、美容医療であるフラクショナルCO2レーザー(肌にごく小さな穴を無数にあけ細胞分裂を活発化させることにより、肌の再生を促す肌治療)を受けた。
「もともと医療脱毛に通っていたので、『ついでにやってみるか』みたいな感覚で受けてみました。正直、ヒゲ脱毛とはまた違った痛さがあるんですが、その分、肌のキメが整った感覚がありましたね。まだ1回しか受けていないので、ちゃんと綺麗になるのは先の話ではあるんですが、脱毛も肌治療も、これからも定期的に受けようと思ってます」
外見を磨き始めたら、内面も磨きたいと思うようになった
苦手な読書も、方法を変えたら趣味に変わった
さらにRyoさんは、自分の内面にも目を向けた。
「正直、外見だけならすぐに整えられます。でも、見た目だけじゃしょせん“金メッキ”。中身もぎっしり詰まった“純金”になるには、外見だけじゃなくて内面も努力しなきゃいけないなって、外見を磨いてから気づいたんです」
そして内面を磨くために、“今の自分にないものを取り入れる”ことを意識し始めたのだという。
「まずは本を読もうと思ったんですが、俺、昔から活字を読むのが大の苦手で。だから、オーディオブック(本をナレーターが朗読してくれるコンテンツ)を活用して、小説、自己啓発、哲学、モテ本まで……、ベストセラーになっているものを片っ端から聴いています。これが自分には合っていて、仕事中や運転中に、ラジオ感覚で本が聴けるんです。思考の幅や深みが広がって、無意味なことで悩んだりすることがなくなりましたね。今までの自分は、『本は苦手』『仕事が忙しくて読む時間がない』って、結局やらない言い訳をしていただけだったとも気づけました」
人にどう見られているかは関係ない
すべては自分のためにやる
仕事柄、一人での作業が多く、拘束時間も長い。筋トレをしても、脱毛をしても、肌治療をしても、それを誰かに気づいてもらえることは滅多にない。それでも、自分を磨き続けられる理由として、Ryoさんはこう語る。
「仕事が忙しいからと言って、“仕事だけの人生”にするのはもったいないじゃないですか。それに、外見も内面も、人の目を気にして整えているわけじゃないんですよ。人が自分に対してどう思っているかって、本当に興味が無いんです。だって、それは俺がどうにかできることじゃないから。アドラー心理学でいう“課題の分離”ですね。だから、俺はあくまでも、自分のためだけにやっています」
仕事が忙しいからと言って、何かを諦める言い訳にはしない。Ryoさんの言葉からは、そんな強い意志が感じられた。
「実は、昔から冴羽獠(シティーハンター)や霞拳志郎(蒼天の拳)みたいな、“漢(おとこ)”なキャラクターに憧れているんです。“漢”と“美意識”って、一見、両極端に感じるかもしれませんが、実はイコール。彼らは肌も綺麗で、ムダ毛も生えてない。しかも、外見だけではなくて、中身も痺れるくらいかっこいい。これからも俺は“漢”を目指して自分を磨いていきます」