美容を知っている男性は、仕事もうまくいく。知らないなんてもったいない
撮影:小川 遼
現在30歳、予防医学を掲げている化粧品メーカー「アンファー」で、2022年春に立ち上げたメンズコスメ「=SUMIF(サムイフ)」のブランドマネージャーを担当。現在は新ブランドの認知向上のため奮闘中。休日は、趣味のバレーボールや登山を楽しむなど、アクティブに過ごしている。
イチからつくり上げる作業は「面白い」
認知度向上に力を注ぐブランドマネージャー
「どうせなら座学ばかりよりも、実験や研究など、簡単にはやれないことを経験したい」という思いで高校卒業後は、薬科大学に進学した沖さん。大学の研究課程で化粧水の刺激性などを調べるうちに自然と化粧品メーカーに目が向き、卒業後の進路を今の会社に決めたという。
営業職などを経たのち、現在は2022年春に立ち上げたばかりの男性向けコスメ「=SUMIF(サムイフ)」のブランドマネージャーとして活躍。第一弾としてリリースされた男性用まつ毛・眉毛美容液「サムイフ シャープアイセラム」は、自社のヒット商品である女性用のまつ毛・眉毛美容液を購入する1割に男性がいたことに着眼して生まれた自信作だ。
ブランドマネージャーである沖さんの仕事は多岐にわたる。立ち上げのときは、デザイナーとともにパッケージのイメージづくりを行い、商品パンフレットの撮影では、表紙のスタイリングも担当した。パンフレットやWEBに掲載されている使用方法を解説する目元のモデルは、沖さん自身だというから驚きだ。中には慣れない作業もあったが、それでもイチからつくり上げる作業は「面白い」という。
目下の悩みは新ブランドだけに、商品の認知度が低いこと。しかし、宣伝や販促にかける予算は限られているため、沖さんは知恵を絞りながら行動に出る。
「今は、とにかくブランドのファンをつくろうと思っています。ブランドに共感を持ってもらえるよう、開発秘話や新人スタッフの成長ぶりをTikTokなどのSNSを活用して発信したり、販路の営業活動を行ったり、プロモーションの企画を考えたり、とにかく体を張って行動していますね」
美容に気を使っている先輩たちは
圧倒的にかっこよく年を重ねていた
「体を動かしてない方がストレスなので、週1度は趣味のバレーボールや登山で、体を動かしています」と話すように、じっとしているのが苦手な沖さん。持ち前の「楽しそうだから、やってみよう」の精神で、美容や美容医療にもチャレンジしている。初めてトライしたのは、眉の医療アートメイクだ。
「自社の関連会社の人に勧められて施術を受けました。1回やってみたら、思いのほか周囲の評判が良くて。運動をして汗をかいても、眉毛がきれいなままだし、眉がきれいだと、それだけで顔が整って見えるんです。アートメイクのおかげで、きれいな眉の形を保てています」
気になる部分のムダ毛は、医療脱毛で処理をした。
「もともとそんなに体毛は濃くないのですが、夏にバレーボールをやっている自分の半ズボン姿を見たら、脚に細く長い毛がまばらに生えていて……。自分の脚なのに一瞬“気持ち悪い……”って思ったんです(笑)。それに、毎日のひげ剃りでカミソリ負けをしていたので、肌ダメージを抑えるために、思い切って医療脱毛をしました」
脱毛をしたら、ムダ毛やひげの処理もほぼしなくていいし、バレーボールのサポーターもするっと履ける。アートメイクも脱毛も、やってみると普段の生活がラクになって快適。もともと研究熱心な沖さんは、美容に対してますます興味を持つようになった。
「薬科大学で化粧品の研究をするまでは、髪のスタイリングはもちろん、化粧水も使ってなかったほど美容に対して興味はありませんでした。大学の研究を通して美容に興味を持ち始めた頃、趣味のバレーボールで自分と年齢が離れた人と関わる機会が増えたことも大きかったです。
“できれば、自分はいい感じに歳をとりたい。”
美容や健康に気を配っている方と、何もケアしてない方では、圧倒的に前者のほうがかっこいいし、いい感じに歳を重ねていけるんです。そんな先輩たちを見て、将来、自分もこうなれたらいいな、と漠然と思っています」
定期的に運動をしているのも、いつまでも動ける身体でいたい沖さんが考える「アンチエイジング」の一環だ。
多くの男性は「美容」のメリットを知らないだけ。一度経験すれば、その素晴らしさがわかる
化粧品メーカー勤務のため周囲には美意識の高い人が多く、おのずと日々美容に取り組むようになった沖さんだが、まだまだ一般の男性にとっては「美容」に対するハードルが高い。老若男女問わず使用が推奨されている日焼け止めですら、手を出してない人は多い。美容を体験しないことを「もったいない」と考えている。
「美容に気を配っていると、仕事でうまくいくことが多いんです。例えば、商談に行っても第一印象もいいし、バイヤーさんに話を聞いてもらえるし、『=SUMIF』にも興味をもってもらえる。仕事がスムーズにいくことが多いから、見た目の印象を良くする美容は、続けていて損はないと思うんです」
美容に手を出さない人がいる一方で、20代の若い人たちの間では、性別問わず美容医療や美容に力を入れる人が増えてきている。その傾向を、沖さんはポジティブにとらえている。
「美容は、シンプルにいえば“努力”。例えば、美容医療は、痛いしダウンタイムもあるし、お金もかかる。それを乗り越えて理想の自分を手に入れるのは、努力でしかありませんし、見た目にコンプレックスがある人は、それを解消するきっかけにもなる。前向きに取り組んでいくことは、単純に素敵なことだと思っています」
美容のメリットを知っている沖さんが目指すのは、興味のない人に美容の価値に気づいてもらい、振り向いてもらうこと。
「美容に二の足を踏んでいる男性って、単に美容を“知らないだけ”なのだと思います。美容=メイクなんて思っている人もいるけど、肌や髪など自分を磨くことも立派な美容。1度手をかけてみると、その良さに気づけると思うのですが、それでも最初の一歩を踏み出せない人はまだまだ多い。美容の情報発信側である自分としても、体験者の口コミを伝えるなど、背中を押してあげる仕掛けを、これからも考えていけたらと思っています」