コンカフェキャスト、趣味は“推し活”。推す側と推される側、二つの立場で芽生えた美意識
撮影:荒 眞人
コンカフェ業界で働いて、気がついたらもう10年以上
お客さんと直接喋れる仕事だからこそ、意見はダイレクトに届く
あおさんが働くコンカフェは、女性客が4割、男性客が6割ほどの割合で、あおさんを推すお客さんは、老若男女幅広いという。「いろんな話が聞けるし、逆に、いろんな話も聞いてくれる。嫌なことがあって落ち込んで出勤しても、お客さんと喋ってたら忘れられます。気がついたらこの業界に、もう10年以上いますね。好きだから、なんだかんだ続けられるんだと思います」
「見られる立場になって、美意識は変わりました。コンカフェってお客さんと喋る仕事がメインだから、容姿について話を振られることももちろんあって。うちの店はお客さんと一緒にキャストもお酒を飲むので、たくさん飲んだ次の日にむくんで顔がパンパンだったりすると、『顔しんどそうだけど大丈夫?』『目が腫れてるけど、泣いたの?』とか言われてしまったり(笑)。推される側として、お客さんには最低限可愛いと思っていてほしいから、同僚のキャストに、おすすめの美容法を聞いて参考にしたり、むくみがとれるって噂の美容鍼に通い始めたり。極度のめんどくさがりだけど、そういうのは続けてます」
「推しに認知してもらうために可愛くありたい」
推しができたことで芽生えた新たな美意識
アイドルを好きになったきっかけは、たまたまテレビで見たAKB48出演のテレビドラマ『マジすか学園』。「れなちゃん(松井玲奈)や麻里子様(篠田麻里子)をみて、面白い!って思って。それからいろいろなアイドルに興味を持ち始めて、たまたまライブを観に行った地下アイドル『仮面女子』で、“会える楽しさ”にハマっていきました」
「地上アイドルは遠いけど、地下アイドルはステージの距離感も近いし、ライブが終わったあとに物販でそのアイドルが売ってくれたり、特典会があってチェキが撮れたり喋れたり。近くで推せるのが楽しくて。一番通ったのは『LADYBABY』。最初はSNSや映像で満足してたのに、一回ライブに行ったらハマっちゃって。ロック系だから、ライブはとにかくもみくちゃになって、靴もなくなったりしたんですけど(笑)。とにかくかわいくて。この子のライブをずっと見ていたいって、心から思ったんです」
ほかにも、“同業者”ともいえる別のコンカフェのキャストを推すことも少なくないという。
「お店に行けば推しに会える、喋れるって、すごいことですよ。アイドルでもキャストでも、推しができてから、『推しに認知してもらうために可愛くありたい』っていう、新たな美意識が生まれました。普段は適当だけど、推しに会いに行くときはメイクも格好も綺麗にして。推しに貢ぐために仕事も頑張れるし、推しが頑張ってるから私も人生頑張れる。私にとって推しは、癒やしとモチベーションをくれる、人生に欠かせない存在です」
めんどくさがりで、不器用。
自分でやりたくないなら、他に頼ればいい
お客さんに“推される”立場として、また、アイドルやキャストを“推す”立場として――どちらの立場にせよ、「かわいくありたい」という気持ちが高まっていったあおさん。より可愛くなるために “アイプチ”で二重を試みたものの不器用でうまくいかない。むくみ対策のマッサージや、ムダ毛の処理など、やらなきゃと分かっていても、つい面倒でサボりがちだったという。
「元々、目の二重幅が左右非対称で、小さい時からコンプレックスだったんです。でもアイプチは不器用すぎてうまくならないし。それを、酔っ払ってお店のキャストにぐちぐち言っていたら、『そんなに言うなら美容医療のカウンセリング行ってきなよ、カウンセリングはタダなんだから』って背中を押されて(笑)。私、注射が怖いので、二重整形はそれがネックだったんですけど、カウンセリングに行ったらトントン拍子に進んで、覚悟を決めましたね(笑)。ほかにも美容鍼と全身脱毛をやってますが、それはマッサージとか、毛の処理とか……普段のケアがめんどうだから。やるまでは全部億劫だったけど、やってからは、毎日の小さなストレスが無くなって、悩みから開放された感じです」
全部自分で完璧にやることだけが美ではない。
「推す側も推される側としても、『かわいくありたい』っていう気持ちは変わらないです。自分でできない部分とか、どうしてもめんどくさい部分は、美容医療でもなんでも、ほかに頼るっていうのも一つの手だと思います。少なくとも私は、全部やってよかったなって思ってますね」