理想の自分を手に入れた「自信」は、クリエイティブな世界で勝負する武器になる
撮影:小川 遼
30歳、東京都在住。陶芸講師、DJ、依頼にあわせてモデル活動も行う。美大卒業後、カメラマンとして企業に就職したのち、ギャラリー勤務などアート系の仕事を経て現職に。趣味は、銭湯やサウナ巡り、フィルム写真撮影や陶芸など。
に長く身を置くMIDORIさんは、外見がビジネスに直結する可能性がある業界で、どのような価値観を持って生きているのか。
クリエイティブな世界でキューレーターの立場として活躍
MIDORIさんを一言で表現するならば、クリエイティブな人だ。
「小さい頃から絵を描いたり、粘土遊びをしたり、何か物をつくったりするのが好き。私は、兄や姉のように勉強ができなかったから、親も得意な分野(芸術面)を伸ばしてほしいと言っていたんです」と、一貫してクリエイティブな世界に身を置いている理由を話す。
高校卒業後は、迷いなく美大に進学する。大学卒業後はカメラマンとして企業に就職するが、仕事で扱うデジタルのカメラに物足りなさを感じてしまう。
「カメラマンの仕事を続けるなかで、『やっぱり私、高校のときから続けていたフィルムカメラが好きだな』って。ちょうど同じ頃に、DJをやってる友達に誘われてクラブに行くようになったんですけど、クラブ独特のキラキラしてる異世界感に惹かれて、趣味でクラブにいる人たちを撮り始めました」
音楽はそれほど詳しくなく、むしろクラブのノリや世界観がちょっと苦手だったMIDORIさん。しかし、出入りするクラブに集まるクリエイティブな人たちに刺激を受け、次第にクラブカルチャーに惹かれていく。そこでかかるテクノやハウスといった自分の好みの音楽を知ることもできた。そんな環境に身を置くうちに、興味が赴くままにDJの道へ。アーティストの個展のレセプションパーティーや、クラブDJとして、MIDORIさんに声がかかるようになっていった。また、よく行くクラブのバーテンダーの話に興味を持ったことが足掛かりとなり、都内のサウンドバーでDJだけでなくバーテンダーとしても働くようになった。
「DJでは、 “私を見て、自分がかけた曲を聴いて”、というような自己顕示欲はなく、楽しい場づくりを意識しています。私のイベントがきっかけで、仲間同士の仕事が繋がるとうれしいですね」
DJもバーテンダーも客層や空気、時間の流れをみながら、音楽やドリンクを提供する。それは美術館のイベントを組み立てるキュレーター的な側面もある。まさに美大出身のMIDORIさんが得意とするところだ。
人に見せたい理想の自分と、見られる自分。
そのズレをなくすための、美容医療
高校生のときはコスプレを楽しみ、大学のときはデッサンモデルのアルバイトをしてきたMIDORIさん。 “見られる”立場に身を置く一方で、自らカメラマンとして被写体と接する。そんななかで、どうしても違和感を覚えるのが「自分の目」と「他人の目」のズレだ。
「写真に写っている自分と、鏡で見る自分。つまり人に見せたい自分と現実の自分の間には、どうしてもズレがある。その幅があり過ぎると、本当の自分ではないような気がして……」
MIDORIさんは大学卒業のタイミングで、ずっとコンプレックスだった一重まぶたを埋没法で二重にする。
「女子高からいきなり男子のいる環境(大学)に入って、そこで異性とどう接すればいいかわからないなか、外見で比較されることが多かったんです。『MIDORIのいいところは、おっぱいだけだな』、とか言われることも。それですっかり性格が卑屈になっちゃって。例えば、かわいい子に、『〇〇ちゃんはかわいいけど、作品はつまんないよね』みたいな意地悪なことを言ってしまうくらい。自分でもおかしいことを言ってるって気づいているけど、そういうふうにしてないと、自分を保てなかったんです」
外見のコンプレックスからくる卑屈な自分を変えたかった。美容医療は、見た目のズレを補整して、コンプレックスを払拭する、自分に自信をつけるひとつの手段だった。
「美容医療を経験して、今はモデルとしても活動するなかで、卑屈だった性格がだいぶなおりました。アイテープで肌がかぶれるのにも悩んでいたし、アイテープやメイクを落とすと“疲れてる?”と気を遣われるのも好きじゃなかった。それがなくなった今は、めちゃめちゃ快適です。自分を撮った写真も、あれこれ加工する手間がなくなったし(笑)」
被写体としてカメラの前に立つと、パッと空気を変える華やかさも持ち合わせているMIDORIさん。それは見た目の美しさからだけではない。クリエイティブなことを一貫して続けてきた、彼女からにじみ出る自信だ。
「自信」は、チャンスを目の前にしたとき、
立候補するためのチケットになる
これからもクリエイティブな場に身を置きたいと思う。その場では、経験と同じくらい「自信」や「自己PR力」も必要になってくる。そのために、自分の自信を奪う外見のコンプレックスは無いほうがいい。
仕事が夜型でお酒を飲むので、顔のむくみに悩まないよう顔周りの施術をしたMIDORIさん。悩みが払拭された今後は、メンテナンス的に美容医療と付き合いたいと考えている。
「DJもバーテンダーも自分から立候補したんです。私から“やりたい”って。クリエイティブな仕事を続けるには、経験と同じくらいアピールすることも必要ですし。昔の私は、“私なんか……”と卑屈だったから、自分から名乗りを挙げるなんてできなかったです」
モデルの仕事を頼まれたり、DJの仕事を繋げたりしてもらえるようになったのも、卑屈な性格が直ってから。美容医療は、まさに自己実現のための“チケット”だった。
「自分に自信が持てるようになった今の自分の性格が、次の仕事に繋がっている感じはしますね。今後は、今やってる音楽とアートの活動を結び付けたものを形に残したいと思います。ただ、ビジョンを強く決めて進むタイプではないので、それがどういう方法になるかは考え中です。表現は写真かもしれないし、パフォーマンスかもしれない。オタクな性格だしいろんな事に興味があるから、そのときの状況によって変わるかもしれないですけど」