「男性も、美容に興味があっていいんです」
美容ナース兼マーケターが発信する、身だしなみを整えることの価値
撮影:小川 遼
青髭が目立っていない人全員、毛が薄い人だと思っていた
けんたろうさんがヒゲの医療脱毛を経験したのは23歳のころ。朝に剃っても夕方には生えてくる髭に悩んではいたものの、「もともとそういう体質なのだから仕方ない」と考えて、対処法を調べたり、人に相談したりはしなかったのだとか。ところがあるとき、職場の先輩から髭の医療脱毛があるという話を聞き、初めて永久脱毛の存在を知る。すぐにカウンセリングに行き、脱毛をスタートした。
「髭脱毛をするまでは、テレビに出ている芸能人や、青髭が目立っていない人は、全員毛が薄い人なんだと思っていました(笑)。僕の髭が濃いのは生まれもったものだし、個人でどうにかできるもんじゃないと諦めていたので、先輩に医療脱毛の話を聞いたときは『どうにかできるんだ』という衝撃がありましたね。何度か医療脱毛を受けると、どんどん髭が薄くなっていって、“夕方の自分”にも自信がもてるようになりましたし、髭剃りも3日に1回程度の頻度になり、肌負担も減りました」
目元をスッキリさせるために受けたら、内面的にもスッキリ
自分の“外見的な悩みを改善する方法”があると、医療脱毛で初めて知ったけんたろうさん。これまで「生まれつきだから」と諦めていた、目の腫れぼったさも改善したいと考えて、美容クリニックへ。医師と相談し、眉下のたるんだ皮膚を切開して引き上げる施術である眉下切開法を受けた。
「切る施術ですし、脱毛に比べると値段的にも精神的にもハードルは高かったですが、これからもずっと悩み続けるくらいなら、思い切ってやってしまおう!と踏み切りました。『なるべくバレないような自然な仕上がりで』と伝えて施術してもらったので、あからさまに変化したという感じではないんですが、自分的には大満足。周りの人からも『目元がスッキリした』と言われ、より自分が好きになりましたね。気にする部分が一つ減ったから、一つ重荷を降ろせたような感覚で、内面的にもスッキリしました」
「男でも、美容に興味をもっていいんだ」
「親が美容師だったから、髪をセットしたり、美容雑誌を読んだり、考えてみれば小さいときから美容自体に興味はあった」と過去を思い返すけんたろうさん。しかし、美容に関心をもつことは、漠然と“女性的である”という印象があり、男性であるけんたろうさんにとって少し違和感があったのだとか。そんなタイミングで、ジェンダーレスモデル・タレントとして活動する井手上 漠さんのイベントに参加したことをきっかけに、けんたろうさんの価値観は変わっていった。
「実は脱毛を受けたとき、男性のナースさんが担当してくれて、『男性でも美容ナースができるんだ』と思ったことがずっと頭に残っていたんです。『僕も美容ナースをやってみたい、美容に携わりたい』という気持ちと、『男なのに美容ナース?』という気持ちが混在していて、悩んでいました。でも、井手上さんのイベントに参加してお話を聞いたとき、『男性的とか女性的とか、別に決めなくてもいいんだ』って気づけたんです。男でも、美容に興味をもっていいし、好きにしていいんだって」
周りにあわせて考える美容、その奥深さを知る
そうして、病棟看護師から、美容ナースに転身したけんたろうさん。より美容が身近になったことで、これまでやってこなかった、スキンケアや身だしなみについても徐々に意識するように。実際にやってみると、思った以上に大変だったが、同時に気付けたこともあった。
「多くの女性は、メイクやスキンケア、服を選んだり、ヘアケアをしたり、時間をかけてやっていますが、それって自分のためだけじゃないと思うんです。仕事に馴染むメイクや服装をしたり、会う人に合わせて変えたり。それも大事だと感じたんです。僕を含む男性も、もっともっと身だしなみについて考えてもいいんじゃないかな、僕がそのお手伝いをできればいいな、と思うようになりました」
概念的な意味での身だしなみを整えると、どんなことが起こるか
そうして、身だしなみや美容についてSNSでの発信を開始。より多くの人に情報が届くよう、マーケターの仕事にも関心をもち、今年の9月から美容ナース兼SNSマーケターとして忙しい日々を送っている。
「自分と同じように、美容に関して悩む男性のお手伝いをする美容ナースはずっと続けていきたい。でも、もっと大きく、美容や身だしなみの文化や仕組みを考えたり、広めたり、もっと多くの人の力になれたらと考えるようになりました。その夢を叶えるために、SNSマーケターのお仕事も始めました。僕の投稿をみて、一人でも誰かの悩み改善や救いになったら嬉しいですね」
メイクも、スキンケアも、身だしなみも、美容医療も。自分とは別次元の話ではなく、自分をよりよくしてくれる身近なコンテンツの一つ。けんたろうさんは今後も、美容に関する発信を続けていく。
「僕は、美容医療でネガティブだった部分をなくしていくことによって、より前向きな気持ちになることができています。そういった気持ちを、来院された方々だけでなく、SNSを通して、美容医療に留まらないもっと大きな概念的な意味での“身だしなみ”を整えた先に、人生もっと楽しくなるよ!ということを広めるお仕事をしていければと思います」