メイクでも美容医療でも、自分が心地よいと思える選択こそが「自分らしさ」

2024.03.29
まつざきみお
取材:文:平川 恵
撮影:森山 越
まつざきみお 施術経験は、すべて顔周りのもので、ヒアルロン酸注入、ベビーコラーゲン、ボトックス、クマ取り、ジュベルック、ハイドラフェイシャル、脂肪吸引。現在の仕事はフリーランスで、SNSの企画から動画撮影・編集・配信まで行っている。趣味はパンを焼いたりチーズケーキをつくったりすること。35歳。東京都在住。
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まつざきみおさんは、フリーランスでSNSの企画・撮影・動画編集・配信する仕事を請け負うかたわら、自身のSNSでは「みお姉さん」の名前で美容情報を発信している。日本化粧品検定1級や化粧品成分スペシャリスト、セルフメイク検定の資格を取得するなど、メイクに関する知識を豊富に持つ彼女が美容医療に求めるものとは? 美容医療の立ち位置についてお話を伺った。

卵型の顔に近づくために、好奇心で挑んだ美容医療

前職は、女性向けのライフスタイルメディアの編集長。今は退職して自身のSNSで美容情報を発信しているまつざきさん。撮影や編集で自分自身を観察し、メイクを追求する中、見えた結論のひとつが、「人から魅力的に見えやすい輪郭は卵型」ということ。

ONEドキュメンタリー取材まつざきみお

「私の顔は、側面あたりが凹んでいるので、そのあたりを丸くふっくらさせれば卵型に近づくんです。これまでは凹みにハイライトを入れるなど、メイクで工夫をしてきたんですけど、やっぱり限界があります。なので、ちょっと美容医療を受けてみようかなと。今、美容医療はカジュアル化が進んでいるけど、実際の施術は大小関わらずリスクがあるし、値段もそれなりにする。そんな美容医療でどれぐらい自分が変わるか、知りたい気持ちが大きかったです」

勉強のためメイクレッスンに通っていたときに、講師にクマを指摘されたこともあり、クマ周辺にコラーゲン注射をする施術を2回。その後、内ももから吸引した脂肪をクマの凹みに入れる本格的なクマ取りの施術も受けている。その他にも、下がり気味だった口角を上げるために、口角を下に引っ張るあごと口角下の筋肉にボトックス注射を。オイリー肌で毛穴に汚れが詰まり、角栓ができやすいため、クレンジング効果のある「ハイドラフェイシャル」、毛穴を引き締める「ジュベルック」といった施術も経験した。

ONEドキュメンタリー取材まつざきみお

「顔周りは動画で映るから気になりますね。私は美容情報を発信する側の人間だから、見た目に気を使いたい。でないと、自分の発言や行動に説得力がなくなると思っています」

外見も内面も変わる「美容の力」を信じている

約10年近くWEBメディアの美容コンテンツの制作に関わり、現在もSNSで美容情報を発信しているまつざきさん。美容に関して強い興味を抱いていると思っていたら、意外な答えが返ってきた。

ONEドキュメンタリー取材まつざきみお

「実は美容に関することはそれほど得意じゃなく、特にメイクについては苦手意識があるんです。それこそ学生時代の私は、今より15kgも太っていて肌荒れもひどく、メイクよりもダイエットやスキンケアに興味があるくらい。初めてメイクをしたのも高校生のときだし、大学卒業後は生命保険会社に就職したのでハウツー本通りの、凡庸なメイクで過ごしていたくらいです」

その後、転職したWEBメディアでは、メイク企画を立て、自らモデルとして出演する機会もあったことから、必要に迫られてメイクについて勉強するようになったという。

「自らがメディアに出て露出が増える中で、私の見た目にコメントをいただくことも多くて……。美容系メディアの“中の人”なので、勉強してなくちゃいけない気持ちがありました」

ONEドキュメンタリー取材まつざきみお

まつざきさんは実践と研究を重ね、資格取得のために座学を積み、現在もSNS発信の中でメイクの学びを続けている。今も「それほどメイクは得意ではない」と謙遜するが、メイクはまつざきさんの心を変えていくものだった。

「メイクは自分を表現する方法のひとつで、その人のモチベーションを左右するもの。例えば朝起きたときに憂鬱な気分でもメイクがうまくいくと心が躍る。メイクひとつで、その日の過ごし方や気分が変わるっていいな、って思うんです。それに勉強と一緒で、美容って時間をかけたぶん成果となって自分に返ってくる。結果が見た目に分かりやすいところも美容のいいところですね」

美容医療はスキンケア、メイクはアートに近い

美容について考えてきたまつざきさんは、メイクと美容医療の立ち位置をこう考えている。

ONEドキュメンタリー取材まつざきみお

「美容医療は、私は肌や顔周りの施術を体験しているのでスキンケアに近いイメージです。一方、メイクはアートのような表現方法のひとつ。その日の気分や体調によって変えられるところが大きいと思っています」

美容医療は、まつざきさんにとって苦手なメイクを手軽にする近道。

「もともと手先が器用ではなく、メイクが苦手な私を美容医療が助けてくれました。毛穴の開きや肌荒れが気にならなくなったことでメイクが時短で済み、ファンデーションが薄くなったので崩れることもありません。また、これまでのメイクは顔の形などコンプレックスを隠すものでしたが、美容医療のおかげでマイナスがゼロになり“好き”を基準にメイクを選べるので自由度が上がりました」

ONEドキュメンタリー取材まつざきみお

メイクと美容医療の相乗作用で、見た目も心もプラスに変わっていくまつざきさん。

「周りの人に“会うたびキレイになるね”って言ってもらえるようになったのは、シンプルにうれしいですね」

“誰もがなりたい自分になれる”ことを伝えたい

「誰もがなりたい自分になれる」――それはWEBメディアの編集部で働いてきたころから、ずっと変わっていないまつざきさんの思いだ。

「メイクの方法の動画を配信すると、 “それって、かわいい人がやってるからできるんですよね”とか “どうせ私には似合わないし……”とか、ネガティブなコメントがたくさん来る。それがつらくて。こちらがいくら頑張って(美容のよさ、美容の持つ力を)伝えようとしても、(コンテンツを観ている人が)自信がない……と思う気持ちを変えられないのが悲しくて。コメントを読みながら泣いていたこともあります」

前職のコンテンツでは、お金がなくてもできる美容法やコスパ重視のコスメの紹介が中心だったため、美容医療の話題を取り上げるとしても眉のアートメイクくらいだったという。今はメイクだろうと美容医療だろうと、その人らしくいられるのなら、どちらでもいいと考えて、日々SNSの配信をしている。そんな自身のコンテンツで自分の発言に対して前向きな反応があるとうれしい。

ONEドキュメンタリー取材まつざきみお

「“紹介していたコスメを買いました”とか、“クマ取りをこれからするので参考になりました”とか、“次こういう企画やってください”なんていうコメントがあるので、視聴者の方が次のアクションに繋げてくれている実感は増えました」

だから嘘はつきたくないという。

ステマが氾濫するネットの世界。自分がいいと思ったものを選び取り、自分の目で見て、触れて、試して、経過から仕上りまでリアルに伝えたいと思っている。だから受けた美容医療の情報や、ダウンタイム中の出来事も包み隠さず告白している。それは、まつざきさんが「自分らしく」あるための選択。

今は、誰もが理想の自分に近づける「わがままになれる時代」。そんな時代にまつざきさんが伝えていきたいのは、自分らしい価値観。

「かわいいと言われることがゴールだとは限らない。もっと”自分がこうなりたい“って言ってもいい。太ってるからダメ、痩せてるからいいとか、肌がキレイだからいいとか、逆に汚いから悪いとかじゃなくて、自分が一番心地いいなって思える状態であれば、無理してアップデートしなくても、ありのままでいいんだよ、ってことを伝えていきたい。他人の価値観に左右されるんじゃなくて、自分の価値観をもって、なりたい自分になれれば素敵。そうなれるのがベストかなって」

ONEドキュメンタリー取材まつざきみお
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