誰かのキレイを引き出す喜びが自分のキレイにつながる

撮影:鈴木 真弓
愛知県出身、1985年生まれの38歳。家族は夫と、10歳と8歳の娘。2023年1月に自宅の一室を改造し、アイブロウサロンをオープン。趣味は家族とのキャンプ。
やりたいことを、何年も手探りで探し続けていた
小さい頃から活発で、おしゃべりが好きで、ファッションやメイクなどきれいなものに興味があったという永井さん。高校卒業と同時にアパレルの道に進み、いくつかの洋服店で販売の経験を積んで充実した日々をおくっていたが、結婚と同時に夫が関東へ転勤に。誰一人知り合いがいない関東で新生活をスタートし、まもなく2人の子どもを授かり、子育てに追われる日々が続いた。

「服を売る仕事をしていたときは、美容やファッションに対するアンテナを高く、ピン!と張っていましたし、お客様に堂々とアドバイスできるよう、自分でもメイクやファッションに気合いを入れていました。それが子育て中は急にゼロになって、自分にかける美容やファッションが面倒に感じるようになってしまったんです」
そんな自分に危機感を抱き、「自分の能力を活かせる“なにか”をしたい」「しなければ」という気持ちが常にあった。しかし明確なあてもないまま、何年も探し続けていたという。
「家庭を第一にしたいと思っていましたので、できれば自宅で自分のペースでできる仕事がいいと思っていたことも、見つけるのが難しかった理由のひとつです。ネイルサロンに興味を持った時期もありましたが、なんとなくそれじゃない、という気がして……」
「私がやりたかったのは、これだ!」と直感
「これじゃない」「これでもない」と迷い続けていたときに、転機が訪れた。愛媛に住んでいる従妹がアイブロウサロンを始めたと聞き、「いったいどんなことをするんだろう?」と好奇心からさっそく施術をしてもらった。

「眉毛を整えてもらっただけなのに、『輪郭が変わった!』と思えるくらい顔の印象が劇的に変わって、驚きましたし、感動しました。そのときに直感したんです。『私がやりたかったのは、これだ!』って」
自分が進むべき道だと確信を抱いたが、それでも「本当にできるのか」自問自答し、半年間、悩み抜いた。夫に相談したところ「やってみたら?」と背中を押してもらえたこともあり、資格を取得。自宅の一室を改造してアイブロウサロンをオープンした。家庭第一のため、営業時間は子どもたちがいない午後1時から2、3時間ほど。住宅街なので、近隣の主婦を中心にクチコミで順調にリピーターが増えている。

「私がやっている『ハリウッドアイブロウリフト』は、薬剤を使って眉の毛質を柔らかく動かしやすくしたうえで、お客様のお顔立ちを見極めてご要望をお聞きしながら、似合う眉のデザインを決めていくやり方です。『似合わせ』というのですが、その人がなりたいイメージを眉毛で実現できるのが大きな特長です。お客様が、いらっしゃったときと全然印象が違うお顔立ちになり、自信に満ちた明るい表情で帰られるのが嬉しくて、やりがいを感じています」
施術するうえで気を付けているのは、あせらないこと。せっかちなので、つい先を急いでしまいがちになるが、眉は1本間違えても印象が変わってしまうので、慎重に、細心の注意を心がけている。
ママ友の多くが脱毛をしていることを知り、驚いた
永井さんは20代の頃から脱毛に興味があり、徹底的に脱毛をして、むだ毛を気にしなくていいすっきりした全身になることに憧れていた。一方で安全面での不安が大きく、ずっと踏み切れずにいた。だがママ友がある美容クリニックで長くVIO脱毛に通っていること、そのママ友だけでなく、他のママ友もやっている人が多いということを聞いて、大きなショックを受けたという。

「私にとっては憧れていた未知の世界でしたけど、実は知っているママ友の多くがやっていたんだ、って知って、びっくりしたんです。私は昔のエステサロンの悪いイメージしかなくて、しつこく勧誘されないかとか、びっくりするような料金を後から請求されたらどうしようとか、『怖い』というイメージしかなくて……。でもそのママ友が『私が行っている美容クリニックはそんなことないから』と太鼓判を押してくれたので、同じクリニックの同じコースでやってもらいました。だから不安は全くなかったですね。そのママ友がいなかったら、今でも怖くて手が出せないままだったと思います」
なりたい自分に、一歩ずつ近づけている実感がある
「脱毛後の感想は『全部いい』。感覚的にすっきりしていつも気分がいいだけでなく、生理中も清潔を保てるので、かゆみなどのトラブルが一切なくなって快適に過ごせるようになりました。何より、『なりたい自分』に近づけているという肯定感が持てて、それがサロン運営の上でも自信となっているように思います。もしもこの先チャンスがあれば、全身脱毛にもぜひ挑戦してみたいですね」

これからの目標は、アイブロウサロンの施術者として、もうワンランク上の資格を取得すること。そしてもっともっと、技術とセンスを磨くこと。フェイシャルのほうに広げることを考えたこともあったが、今は「眉毛で完璧を目指したい」と考えている。
「洋服屋さんで働いていた頃、ノルマが厳しくて嫌だなと思うときもあったけど、似合う服を見つけてお客さんに喜ばれる嬉しさのほうが大きくて、頑張れたんです。今のアイブロウサロンでも、お客様に似合う眉の形を見つけてあげられたときが一番幸せ。よく考えたら共通していますね。その人の魅力やキレイを引き出して輝かせてあげることが、私がずっと追い求めていた、本当にやりたかったことなんだと思います」
