美容医療の“ネガティブなイメージ”を一新させた起爆剤漫画!——『OLヴィジュアル系』【漫画や小説の中に“自分の見た目の正解”を探して/第五回】

なんて、気軽に美容医療を受けたり、それをカミングアウトできる昨今ですが、25年前はまだ美容医療にネガティブなイメージがありました。
美容医療をポジティブなイメージに変えた流れのひとつに、2001年から放映を開始した『B.C.ビューティー・コロシアム』という番組があります。美のプロフェッショナルたちが、容姿に悩む相談者を美しく変身させる内容が大きなセンセーショナルを巻き起こしました。
もうひとつ、1999年に連載をスタートした『OLヴィジュアル系』という漫画が大流行したことも大きいです。連載翌年の2000年にはテレビドラマ化もされて、主演の鈴木紗理奈さんが特殊メイクで地味顔を演じていたのが話題となりました。
漫画や小説を通して美容医療を客観視することで、“自分に合う施術”や“自分の見た目の正解”を探す本企画。5冊目は、美容医療漫画の先駆けともいえる『OLヴィジュアル系』(主婦と生活社)を紹介します!
<オススメのポイント>
1.美容医療をポジティブに描いた先駆け漫画
2.今とは違った「平成時代」の美容整医療やその価値観がわかる
3.自分が変わりたい時に背中を押してもらえる作品
3人の主人公、それぞれのコンプレックスに共感ポイントがある
この漫画には容姿コンプレックスを克服した3人の女性が登場します。
主人公の桜田門真恵は、社内で評判の美人OL。でも実はメイクテクがすごいだけで、すっぴんは超地味顔。憧れの上司、関口隆太郎を落とすために日々美活に励んでいて、下半身の脂肪吸引や豊胸手術なども行っています。
会社の後輩の目黒川さゆりは子どもの頃にブスだといじめられた経験があり、全身整形でスタイル抜群の美女に変身しました。今や誰もが振り向く美貌の持ち主で、社内トップクラスの営業成績を誇っています。
堀切実江子は社内で一番影の薄い陰キャ。でも、自分の地味顔が桜田門のすっぴんとそっくりだと知り、美に目覚めます。二重施術を行って清楚な美人に変身し、会社の後輩からモテるようになります。
3人ともそれぞれ容姿のコンプレックスを抱えていて、美容医療を行ったことで自分に自信が持てるようになり、恋愛や仕事のモチベーションが上がりました。
男尊女卑の世の中に屈せず、ポジティブに自分を磨き続ける!
『OLヴィジュアル系』は美容医療への理解が低かった時代の漫画ですが、彼女たちは「美しくなるために美容医療して、なにが悪いの?」と、とにかくポジティブです。
当時はまだ男尊女卑の傾向が強く、豊胸手術でナイスバディになった桜田門を見て部長が接待要員に使おうとしたり、今では問題視されそうなことがまかり通っている世の中。
今とはだいぶ時代背景が異なりますが「美しくなりたい!」という気持ちはいつの時代も共通しています。理不尽な目に遭いながらも、ポジティブに自分磨きをしている3人はとても輝いて見えます。
好きな人に振り向いてもらいたい、仕事でチャンスをつかみたい、自分に自信を持ちたい。
それぞれ自分に合った美活にチャレンジして、理想の姿に生まれ変わっていくのです。
彼女たちのパワフルさに勇気をもらい、背中を押してもらえる作品です。
2015年には15年後を描いた続編『OL魂ヴィジュアル系』、2022年にはアラフィフになった主人公達を描いた『OLヴィジュアル系外伝 アラフィフヴィジュアル系』が発売されています。
最新作の「アラフィフヴィジュアル系」ではインフルエンサーが登場したり、時代に応じたストーリーになっているのも面白いです。時代を追いながら読み続けたくなる漫画です。
<書籍情報>
OLヴィジュアル系
出版社:主婦と生活社
著者:かなつ久美
趣味は美容と健康で、愛犬家としても知られる。『35歳からもっときれいになる』『美人の教科書』『肩甲骨ユルユル体操で女優体型になる』『美女RUNでもっともっとキレイになる』『頭しぼり&リンパつぼで小顔になる』など美容本も多く執筆。