毒舌キレキレ天才美容外科医&イケメン麻酔科医が、現代人の欲望を叶える——『Dr.クインチ』【漫画や小説の中の美容医療/第六回】

自分の容姿に悩む人たちを医療の力で変身させるのが美容外科医の仕事です。美容クリニックには日々、いろんな人々が救いを求めてやってきます。
美容医療を受けた人の体験談も参考になりますが、“医療を提供する側”の視点に立ってみると、また違った発見があるかもしれません。
そんな提供側の世界を知りたいなら、美容外科医が主人公の漫画がおすすめ!
漫画や小説を通して美容医療を客観視することで、“自分に合う施術”や“自分の見た目の正解”を探す本企画。6冊目は、クセ強めの天才美容外科医が主人公の『Dr.クインチ』(集英社)を紹介します。
<オススメのポイント>
1. 毒舌天才美容外科医の「名言」の数々
2. 美容外科医監修ならではの「リアルな描写」
3. タイパ重視派も嬉しい「1話完結型」
“悪魔”的に口の悪い美容外科医が“神”の手で人を救う!
主人公の権藤弓一朗(ゴンドー)は天才的な腕を持つ美容外科医。しかし、性格はかなり癖アリ……。とにかく口が悪く、美容整形を求めて来院するお客さんのことを「渇欲まみれの化物」と呼ぶような悪魔的な一面を持ち合わせています。
第一話に登場する顧客の女子大生のことも「超ド級のブス」とディスりまくります。こんな医師がリアルにいたら大炎上しそうですが、手術を受けた顧客は誰もが大満足。クリニックはいつも繁盛しています。それは、ゴンドーが“神がかった手術の腕”を持つ医師だから。
作品名である『クインチ』には「渇きや欲望を癒す、抑える」という意味があるのだそう。美醜にとらわれて、もっとキレイになりたいと願う顧客の渇欲を満たすゴンドーはまさに『Dr.クインチ』です。
一見性悪に見えて、実は情に厚いタイプ。「美容外科は顧客の人生を左右する医療」という信念を持ち、顧客が強欲なほど使命感に駆られます。パーフェクトな手術で顧客が望む理想通りの容姿へと大変身させます。
ゴンドーは人を美しくする美容外科医をしているのに、口が悪いというギャップがこの作品の面白さです。クセ強でも腕は確かなまさに職人タイプ。青年誌ならではの、女性読者に媚びない毒舌キレキレなゴンドーの名言にも注目!
他にも、ゴンドーの相棒であるイケメンの麻酔科医や、BL好きの美人院長など個性豊かな脇役が作品を盛り上げてくれます。
ダウンタイムのリアルさは“医師監修”ならでは
じつはこの『Dr.クインチ』の監修は、現役の美容外科医である八杉悠さん。だからこそのリアリティを追求したストーリーに仕上がっています。
第一話だけでも鼻尖形成、目頭目尻切開、二重瞼形成(瞼脂肪取り)、二重瞼全切開法、エラ骨形成、脂肪吸引、鼻翼縮小、ニキビ跡レーザー治療、輪郭形成、セラミック矯正などいろんな施術が出てくるので、漫画を読むほどに美容医療について詳しくなれます。
いろんな外見の悩みを抱える人が登場し、どのような施術でコンプレックスを解消したのかわかる点は、これから美容医療を受けたいと思っている人の参考になりそう。
美容外科手術で思い通りの容姿を手に入れるというキラキラしたストーリーではなく、ダウンタイムの壮絶さもしっかりと描いていて、ルッキズムに囚われた人々の心の渇きをリアルに伝えています。
『Dr.クインチ』は単行本だけでなく、漫画アプリでタテヨミ版もリリースされていて、スマホでストレスなくサクサク読めるところも魅力。一話ごとに完結するので、スキマ時間に手軽に読めます。タイパ重視の人にもオススメの作品です!
<書籍情報>
『Dr.クインチ』
出版社:集英社
監修:八杉悠
著者:鈴川恵康