Documentary

ホクロは取っても、二重にはしない。
俳優からの一言とメイクで生まれた新しい価値観

2023.06.13
こうすけ
取材・文:ヨコシマ リンコ
撮影:荒 眞人
こうすけ 経験施術は、ホクロ除去。
大手化粧品ブランドの美容部員を経て、現在はメイクアップアーティストとして活動しながら、メンズコスメの総合サイトmencos.を運営している。趣味は筋トレ、ヨガ。
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一重まぶたがコンプレックスで、二重テープをしたり、二重施術をした、という話は珍しくない。こうすけさんも、以前は自身の一重まぶたを気にしていた一人だった。しかし、あえて二重施術はせず、むしろ一重を生かすメイクをするようになったのだとか。そして現在、メイクアップアーティスト兼メンズコスメの総合サイトmencos.の編集長をしているこうすけさんは、「一重で悩む人の希望になる」という信念を掲げている。その真意とは。

「目つきが悪い」と言われた、自身の一重まぶた

小学校から高校まで、野球ばかりしていたこうすけさん。高校は寮生活で男だらけな環境だったこともあり、美容とは無縁だった。しかし、異性の目が気になる年頃ということもあり、徐々に外見を気にするようになる。特に、自身の目元については、「コンプレックスで悩んでいた」のだと言う。

ONEドキュメンタリー取材こうすけさん。インタビュー中

「 中学くらいまでは、“輝いている男”といえばスポーツができる子とか、おもしろい子とかのイメージだったんです。でも、高校になってくると、顔がいい子が女性に人気になってきて。輝いている男は大体目が二重だったんですよ。自分は一重で、人から『目つきが悪い』と言われることもありました。野球は楽しかったし、彼女もいたので、深刻に悩んでいたわけじゃないですが、悩みの一つではありました」

筋トレで学んだ、他人と比べない心

コンプレックスを抱えたまま大学生となったこうすけさん。大学で一気に交友関係の幅が増えたことで、“二重のイケメンは輝いてみえる”と改めて実感。自分に自信がなくなり、人前にでるときに 緊張を覚えたり、相手の顔色をうかがう癖がついてしまったのだと言う。そのタイミングで、二重になる施術を真剣に考え始めた。

ドキュメンタリー取材こうすけさん。筋トレ

「もうすぐ留学というタイミングだったので、『帰国したらすぐにでも二重施術をしよう』と考えていました。留学中は、少しでも自分に自信が持てるように、筋トレを始めましたね。筋トレはやればやるほど徐々に身体が変わっていくのが面白いんです。完全に自分との戦いです。おかげで、他人と比べてではなく、“自分の中で1番を更新していく”ことの大切さを学びました」

人に言われて気がついた、自身の魅力

筋トレを続けて、徐々に自分に自信をつけていたこうすけさんは、留学先でたまたま出会った日本人の俳優さんにある言葉をかけられた。それが、“あえて二重の施術をしない”選択に繋がったのだと言う。

ONEドキュメンタリー取材こうすけさん。窓を眺める

「超イケメンな俳優さんが、僕を見て『君の目、すごくかっこいいね』と褒めてくれたんです。その俳優さんはきれいな二重だったんですが、僕の一重の目を『かっこいい』と言ってくれた。そこで、自分がコンプレックスだと思っている部分も、人によってはかっこよく見えるんだと気づきました。そこから、自分の一重も悪くない、むしろかっこいいな、と思えるようになり、帰国してからやろうと考えていた二重の施術はしませんでした」

人生を変えたメイクとの出合い

帰国後もこうすけさんは更に自信をつけるため、筋トレを続け、歯列矯正をして、自分を磨いていった。大学最後の年、友人に誘われて出場したミスターコンで初めてメイクをしてもらった。メイクといっても、ファンデーションで肌を整える程度だったが、こうすけさんは「衝撃を受けた」と語る。

ONEドキュメンタリー取材こうすけさん。メイク

「一瞬で、顔が変わったんですよ。血色が良いきれいな肌に見えて、パッと自分の顔に魔法がかかったような感覚でした。筋トレは、身体が変わってくるまで最低3カ月程度はかかります。でも、メイクはすぐ変化が見える。一瞬で、人を良い方向に変えられる可能性がある。それまでメイクのメの字も知らなかった自分ですが、『これを仕事にしたい』と思い、急遽進路を変えました」

メイクは生きる上で必須じゃないけど
誰かの人生をちょっといい方向に導けるかも

“人の人生をちょっといい方向に導ける仕事がしたい”と常々思っていたこうすけさんは、メイクと運命の出合いを果たし、大学卒業後は大手化粧品ブランドの美容部員となる。

その後、メイクアップアーティストのアシスタントとしてさまざまな現場をまわり、今は「より人の悩みに寄り添える場所へ」と考え、マンツーマンで一般の方にメイクを指導するサロンで働いている。

「メイクって、生きていく上での必須事項ではありません。なくても生きていけるけど、人によっては、あると“人生をちょっといい方向に導ける”かもしれない。僕自身が一度のメイクで人生が変わったように、僕と関わる人の人生が少しでもいい方向に向けば、こんなに嬉しいことはないですね」

ONEドキュメンタリー取材こうすけさん。メイクしている

一重もホクロも決して悪じゃない。
やる・やらないの判断基準は“自分がどうしたいか”

一重まぶたに対して、受け容れる選択をしたこうすけさん。しかし、美容医療を選択した部位もある。それは、ホクロ。半年前、顔に19個あったホクロをレーザーで除去した。

「メイクをするようになってから、ホクロが徐々に気になりはじめたんです。美容医療を経験することでよりお客様に寄り添えるとも思って、全部とりました。メイクやスキンケアでは消えない部分が気になるのであれば、美容医療は強い味方になると思います」

ONEドキュメンタリー取材こうすけさん。話している

美容医療をやる・やらないの選択は、「世間やSNSの言葉に惑わされず、“自分はどうしたいか”で考えている」のだと教えてくれた。

「一重だってホクロだって、一般的にコンプレックスとして語られている特徴はすべて、決して“悪”じゃないんです。でも、人に指摘されたりだとか、皆がやっているからだとか、世間やSNSの言葉に惑わされて、悩まなくてもいい部分で悩んでいる人は、お客様にも多くいらっしゃいます。

大事なのは、他人と比べてどうということではなく、自分がどうしたいか。自分が気になるならやればいいし、そうじゃないなら無理にやる必要はないと思うんです。一重だからといって、“ダメ”なわけじゃない。世間やSNSに惑わされず、自分と向き合っていけば、自分にとっての答えがでると、僕は思います」

ONEドキュメンタリー取材こうすけさん。カメラ目線
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