Documentary
Documentary #医療脱毛

「いつも“人間のコスプレ”お疲れ様」
頑張り過ぎない、自分らしい生き方

2023.08.28
蝮
取材・文:有竹亮介(verb)
撮影:有泉伸一郎
経験施術は医療脱毛。
2023年3月に大学を卒業し、現在は塾講師とバー店員のアルバイトを掛け持ちしている。趣味は「食べたことがないものを食べること」。虫や珍しい動物の肉などを食べるのが好きで、おすすめはタガメ。
昼は塾講師、夜はバー店員のアルバイトを掛け持ちし、忙しい日々を送っている蝮さんは、大学を卒業したばかりの22歳。どちらもコミュニケーション能力を要する仕事だが、もともと人と話すのは苦手だったという。しかし、「医療脱毛でコンプレックスが減ったことが、人とのコミュニケーションが増えた理由のひとつ」と話してくれた。

小さなニュアンスがコミュニケーションを円滑にする

現在は人と話すことが好きで、バーの仕事も自分に合っているという蝮さん。

「こっちから話を振ると、お客さんが話したいことをしゃべってくれるので楽しいんです。特にバーは、『話をしたい』『ストレス解消したい』って思って来ているお客さんが多いので、聞き手に徹しますね。どんな悩みもどんな好みも否定することなく、相手の話を受け入れようという気持ちで働いています」

もともとは人と関わるのが苦手だった。中高生の頃は自分の思いをうまく発信できず、周囲と衝突してしまい、学校が居心地の悪い場所になってしまった。

ONEドキュメンタリー取材蝮さん

「私って忘れ物が多いんですよ。だから、忘れないために教科書をロッカーに入れてたんですけど、先生に『校則で教科書は持ち帰らなきゃダメ』って言われちゃって。そういうときにうまく対処できればいいんだけど、当時の私は先生につっかかってしまって、学校もあんまり行かなくなったんです」

転機が訪れたのは、大学に入学してから。周囲とコミュニケーションが取れないと卒業できない、という現実に気付く。

「美術系の大学だったので、自分の作品を講評してもらうために自ら表現したい内容とかを解説しないといけなくて、会話は必須だったんです。コミュニケーションが上手な子が先輩からノートを借りて、効率よく単位を取ってる姿も見て、このままじゃヤバいなと。キャバ嬢やお笑い芸人のYouTubeを参考にして、コミュニケーション術を学びました(笑)」

大学生の間に始めたバーの仕事も、コミュニケーション能力を磨く場となった。

ONEドキュメンタリー取材蝮さん

「バーでは基本的に1対1のコミュニケーションになるので、『働きたいならやるしかない』って、実地訓練的に鍛えられました(笑)。その中でニュアンスの大切さを知ったんです。例えば、仕事仲間にお願いごとをされたときに、『時間がないからできない』って返すと不快感を与えるけど、『しなきゃいけないことがあるから今はできないけど、次またあったらやるから言ってね』って伝えると不快にさせない。小さなことだけど、大事ですよね」

生徒の前では、等身大の自分でいられる

塾講師の仕事も大学時代に始めた。当時付き合っていた男性から「話を聞くのがうまいから、塾の先生とかいいんじゃない?」と、言われたのがきっかけ。

ONEドキュメンタリー取材蝮さん

「働き始めた個別指導塾では、コミュニケーションに苦手意識を感じなかったんです。担当していた中学生や高校生の前では私も取り繕わないから、同じレベル感で話せたのかもしれません。『なんで宿題やってこなかったの?』じゃなくて、『私が上司に怒られちゃうから、やってきてよ(泣)』って感じで話しちゃうから(笑)」

塾講師は、思いのほか自分の適性に合っていたと感じている。

「教えるのが好きだって分かったし、生徒たちの実力が着実に上がっていくところを見られるのがうれしいんです。今までは個別指導塾で1対1で教えてきたから、いつか1対多数の現場も経験してみたくて。だから、通信制の大学に通い直して、教員免許を取ろうと思ってます」

今興味があるのは、中学校の先生。自分自身が最も悩みの多かった年頃だから。

「高校生にもなるとある程度大人な感覚があるけど、中学生って一番揺れ動いていて、どうしたらいいか分からない年頃じゃないですか。私も道を外れちゃった経験があるから、道を外れそうな子を見捨てずに、助けられる存在になれたらなって」

美容を“ルーティン”の一部にして頑張りすぎない

医療脱毛を受けようと決めたのは、バーの仕事を始めてから。

ONEドキュメンタリー取材蝮さん

「バーの店員って見られる仕事でもあるし、脱毛をしている人が周りに多かったのも理由のひとつです。これからもバーで働くなら必須だと思って、受けました」

プライベートでは人の目を気にしないため、バーで働いていなければ脱毛はしなかったかもしれない。しかし、脱毛したことでの変化は大きいと感じている。

「肌が弱くて、カミソリを使うとすぐに荒れちゃうので、そもそもカミソリを使う必要がなくなったのはうれしいです。あと、何か作業するときに自分の腕を触りながら進めるクセがあるんですけど、触り心地が良くなりました(笑)。塾でもバーでも、『剃り残しがないかな……』って気にせずに働けるのも大きいですね。もともと自分の外見にはあんまり自信がない方なんですけど、そこが軽減されて、コミュニケーションを取りやすくなったのも良かったなと」

バーではヒールの高い靴を履くことが多く、足がむくみやすい。そのため、日々のお手入れも欠かさない。しかし、美容の努力は“頑張りすぎない”がモットー。

ONEドキュメンタリー取材蝮さん

「些細な努力も苦手で、本来は『明日から頑張ろう』ってタイプなんです。だからこそ、お手入れをルーティン化してます。日常の一部にしてしまえば、ルーティンが崩れてお手入れできなかったときに『今日は疲れてるのかも』って、心身の不調に気付くサインにもなると思うんです。ただ、ルーティン化するのに苦労しますけどね(笑)。無理せず簡単にできるものを続けて、成功体験を積んで、やればできるじゃんってポジティブに捉えるようにしています」

簡単なことを続けるという方法は、高校時代の恩師が教えてくれたもの。

「通信制の高校に通っていたんですけど、そのときの先生が『小さいことでいいからやってみよう』って提案してくれて、その小さいことができると『できたじゃん』って褒めてくれたんです。それが糧になったから、今でも実践しているし、塾でも生徒たちに同じように接しています」

生徒に難題を解かせて「難しい」「できない」と思わせるより、簡単な問題を与えて「できた!」と思ってもらう方が生徒も楽しいし、自分自身もその姿が見られてうれしいから、と蝮さんは言う。

ONEドキュメンタリー取材蝮さん

「大きな目標を掲げるってかっこいいけど、実力に見合っていないと意味がないって思うんです。それよりも自分ができる範囲のことを頑張って、少しずつ実力を付けていく方がいいなって思います」

感情を素直に出して「何それ(笑)」って言われるほうがラク

蝮という名前で綴っているSNSでは、「みんな今日も“人間”お疲れ様~!!」が合言葉。

「『ハムスターの息子に産まれて良かった』っていうアーティストさんが好きなんですが、その方があるオーディションに出たときに『今日は人間のコスプレしてきました』って言ってたのを聞いて、みんな人間のコスプレをして、辛いけど頑張ってるのかも、ってピンときたんです。だから、『今日も“人間のコスプレ”お疲れ様』という意味です。社会を生き抜くには頑張らないといけない場面もあるから、私も常々『外に出たら人間の仮装するんだ』って言い聞かせてます」

ONEドキュメンタリー取材蝮さん

そんな表現ができるSNSは、自分らしくいられる場所のひとつ。

「つくり上げた自分で発信して、それを『好き』と言われても、いつかむなしくなる瞬間が来ると思うんです。そうなるよりも、感情を素直に出して、『何それ(笑)』って言われる方がリアルな評価だし、自分もラクだと感じたんです」

中高生の頃は自分を取り繕い、周りの子の好みに合わせて「私もそれが好き」と言っていた。本当の自分を封印したその空間が、息苦しかった。

「今はもう成人も超えたし、好きにさせてくれよって(笑)。でも、10代の頃よりも、私がやりたいことを応援してくれる人が圧倒的に増えた感覚があります。純粋にうれしいし、素直にありのままでいることって大切なんだなって実感してます」

今まさに周りに合わせることに苦しんでいる学生には、「なぜ、自分は今の環境がしっくりこないのか考えてほしい」と、伝えたい。

ONEドキュメンタリー取材蝮さん

「単に『ここは嫌だ』って投げ出すよりも、なぜ自分に合わないのか考えることで、お金を稼げるようになったときに自分に合った道に進めるようになると思うんです。現実的な問題として、お金を稼ぐ方法も勉強したほうが良いと思います。自分を犠牲にして何かを得ること以外の方法で。自由になるためには、金銭面って重要だから。あと、本をたくさん読んでください。私は過去に読んだ本や漫画から、たとえ道を外れてもストイックにやりたいことを突き詰めれば新しい道ができる、って教えてもらったので」

現在の目標は教員免許の取得だが、その目標だけに固執しているわけではない。

「免許を取った後に、自分の手で教育関連の会社の経営をしてみたい気持ちもあるんですけど、これまで目標に向かっている途中の寄り道でやりたいことが見つかる人生だったから、今回も流れに身を任せようかなと。“夢を持ってないとダメ”って風潮があるけど、今いる場所で身に付けられるものがあれば十分だと思うんです。自分のキャパの範囲で、できることをやっていけたらいいのかなって」

ONEドキュメンタリー取材蝮さん
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